里見八犬伝(1954)
劇場公開日:1954年5月31日
解説
江戸時代の大衆作家滝沢馬琴の長篇小説の映画化で、全篇が五部に分かれる。脚本は「近世名勝負物語 黄金街の覇者」の村松道平が書き、「雪之丞変化(1954)」の河野寿一が監督する。撮影は「雪之丞変化(1954)」の松井鴻、音楽は「続水戸黄門漫遊記 副将軍初上り」の高橋半の担当。出演者は「新諸国物語 笛吹童子 第一部どくろの旗 第二部妖術の闘争 第三部満月城の凱歌」の東千代之介、中村錦之助、島田照夫、田代百合子、「悪魔が来たりて笛を吹く(1954)」の石井一雄、千原しのぶ、「近世名勝負物語 黄金街の覇者」の月形哲之介に、藤里まゆみなど。(五部作)
1954年製作/日本
配給:東映
劇場公開日:1954年5月31日
ストーリー
愛犬八房に戯られて自害した安房の領主里見義実の娘伏姫の首に掛けられた珠数、仁義礼智忠信孝悌の八つの玉は未来の勇士を求めて八方に飛び散った。形なくして伏姫が朶んだ八人の子こそやがて里見家の支柱となるべき人物との予言を受けた家臣金碗大輔は、剃髪してゝ大法師と名を改め諸国遍歴の旅に出た。それから廿年後--武蔵の国大塚に住む犬塚信乃は孝の字を刻んだ水晶の玉を持って居たが、犬川荘助が義の玉を所持していることを知り二人は義兄弟の縁を結んだ。信乃の許婚浜路は代官宮六に横恋慕されているため、信乃は宝刀村雨丸献上に滸我御所の足利家へ行かせられたが、村雨丸は偽物にすり替えられていたため、主君の怒りにふれ、家臣達に包囲されたが、彼が取組んだ犬飼現八は信の玉を持って居り、やがて彼とも義兄弟の誓いを固めた。又そこで信乃が泊った宿の息子犬田小文吾は悌の玉を持って居り、居あわせたゝ大法師は彼等に里見八犬伝の由来を説き明した。三人は、宮六に捕われた荘助と浜路を救出するため大塚へ戻ったが、鉄砲隊の銃口に危機に瀕した彼らを助け、荘助を救出したのは忽然と現われた犬山道節の忍術の力だった。この道節も忠の玉を持った八犬士の一人であった。一方浜路は且開野という娘田楽の踊り子に救われた。それから数年後、野州赤岩の里で、一匹の怪猫が武芸者赤岩一角を喰い殺して一角に化け、遺児角太郎はそれとも知らず孝心を以ってそれに仕えていた。怪猫の正体に気づいた信乃と荘助はそれを殺したが、角太郎こそは礼の玉を持った犬村大角という犬士であるということが分った。一方小文吾は領主千葉自胤に武勇を見出され、馬加大記に預けられて、浜路や且開野と共に石浜城にいたが、領主に謀反を起す大記に命を狙われて危い身を且開野に助けられた。実は且開野こそは犬坂毛野であり、智の玉を持つ犬士であった。駈けつけた犬士達の手によって大記は討たれた。その時犬士の一人犬江親兵衛がゝ大法師と共に姿を現わした。斯くて八犬士は揃った。石浜城から追い出された悪漢左母二郎や、八百年も昔よりこの世にありかつて里見家の息女伏姫を八房に与えた妖婆夕顔の魔術も、犬士達の霊玉に敗れ、妖気根絶した。浜路は幼い頃鷲にさらわれた里見家の姫君であったが、今や信乃と晴れて結ばれることになった。斯くて犬士は里見家の柱石となり、永く泰平の世を築いた。