人生劇場 第二部
劇場公開日:1953年2月19日
解説
スタッフは脚本に舟橋和郎が加わったほかは全部第一都と同じ。配役陣では新しく「喧嘩笠(1953)」の轟夕起子、「真空地帯」の沼崎勲その他細川俊夫などが新しく加わっている。
1953年製作/112分/日本
配給:東映
劇場公開日:1953年2月19日
ストーリー
飛車角が入獄してから五年。学校騒動で浮世にとび出した青成瓢吉は懸賞小説に当選し、作家としてようやく世にみとめられ出していた。瓢吉は若さのあやまちから、同じく作家を志す小岸照代と同棲し、人の眼にはうらやまれる仲と思えたが、二人の間柄は必らずしもうまく行っていなかった。伊豆の温泉で、瓢吉と照代はお袖にめぐり合った。照代はお袖のそぶりから彼女と瓢吉との昔の関係を知ったが瓢吉はお袖に案外冷淡だった。照代がひとり東京へ帰る列車中には丘部と別れて再び左褄をとるおりんが乗り合わせていた。飛車角は出獄してまずおとよの消息を気づかった。そのおとよは宮川との関係から、身をかくしてしまった。一夜飛車角、吉良常、宮川の三人の会合の席へよばれた瓢吉は同じ料亭に来ている今は警察署長姿の新海一八の座敷へよばれるが、そこに芸者姿のおりんの姿を見ておどろいた。二人は川風に吹かれて語り合ったが、それはもう幼い日への思い出ではなかった。飛車角は一度足を踏み込んだ男を張る世界ヘもどり、瓢吉はアナキスト連盟の一斉検挙のとばっちりで警察へひっぱられた。夏村大蔵の政見発表の日、吉良常は瓢吉はじめ飛車角、黒馬先生、吹岡、高見、夏村等にみとられながら息をひきとった。瓢吉は吉良常の死を久しぶりで故郷の母に知らせるために汽車に乗った。折から品川駅のプラットフォームは出征兵士を見送る人の旗の波にうずもれ、その一隅には大陸へ渡る酌婦の群があったが、そのなかにお袖とおとよの淋しい姿が見られた。三州吉良。駅で瓢吉は中年紳士と連れだっおりんの姿を再び見た。幾年ぶりかのおみねの頭髪はいっそう白くなっていた。瓢吉はその母を背負つて松林をぬけ海辺を駆けた。