牙狼之介地獄斬りのレビュー・感想・評価
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娯楽性×濃密愛憎劇で、時代劇界に、牙新斬!
五社英雄監督1967年の作品。 夏八木勲が再び浪人・牙狼之介に扮した第2作。 当てのない旅を続ける牙。 男たちに追われる女を助け、役人一行に護送中の三人の罪人と出会う。 幕府の隠し金山を巡って、男と女、思惑と欲が交錯する…。 罪人の一人、孫兵衛。 彼を見て、牙は驚く。 牙が幼い頃死んだ父に瓜二つ。 道場破りだった父。その父と幼い頃から旅暮らしだった牙。 実は父は生きていて…という事ではないが、孫兵衛にシンパシーと言うより、何か怪訝なものを感じる牙。 何処か不敵な孫兵衛を、西村晃が存在感発揮する。 前作は『用心棒』をコンパクト化したような痛快で単純明快な娯楽作だったが、勿論今回も娯楽性は充分だが、よりドラマ性や男女の愛憎劇が濃厚。後の五社作品に通じるものも。 ちと人間関係入り交じり、前作の方がストレートに分かり易さや見易さあったが、今回も70分ちょっとの短尺の中によく詰め込んだと感心。 牙の豪快な殺陣や泥臭いキャラ像もより浮き彫りに。 娯楽性あり、濃密なドラマあり、監督の美学あり。 この時代量産された単なる娯楽時代劇のそれとは違う。 僅か2作の短命で終わったのが惜しい。
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