この虹の消える時にも
劇場公開日:1966年1月27日
解説
吉田憲二の原案を、「拳銃無宿 脱獄のブルース」の石森史郎と「明日に向って突っ走れ」の堀江喜一郎が共同でシナリオ化、「ぼくどうして涙がでるの」の森永健次郎が監督した青春もの。撮影は「怪盗X 首のない男」の藤岡粂信。
1966年製作/89分/日本
配給:日活
劇場公開日:1966年1月27日
ストーリー
中学を出てすぐクリーニング店に勤めた朝比奈健は、同僚の宏次の不始末で起こした火事の最中、身の危険を冒して、主人の赤ん坊を救いだしたが、あやまって主人を燃え崩れる火の中に突きとばして殺してしまった。数年後少年院を出所した健は、下町にある既製服問屋に引き取られ、配送係として真面目に働いていた。そうしたある日健は、デパートで、少年院時代の仲間サブに金をたかられた。そのとき健にぶつかって来たのが、盲目の少女チエであった。はじめは、眼が不自由なのを知らずに怒った健だったが、事情を知り、優しくチエを案内してやるのだった。中学のころ失明したチエは、婚約者がいる姉夏子とアパート暮しをしていたが、姉の足手まといになるのを気にして、内証でマッサージ学校に願書を出していた。健の親切はチエの心にしみ、長くチエの心に残った。一方既製服問屋の娘真理は、どこかに深い影をやどす健に魅かれ、積極的に健を誘惑した。また健と一緒に少年院に送られ、共に更生を誓い合った気の弱い宏次は、サブに脅され、同じ店に勤めるチエの姉夏子のロッカーから、チエの手術費として貯めた十万円を盗みだしてしまった。これを知って怒った健は、サブをしめあげ、自らはなけなしの貯金をはたいて、三万円を夏子に返した。が、数日後、少年院に送りかえされたサブの仲間が、健をうらんで店になぐりこんできた。この事件で、健は既製服問屋を馘になり、すさんだ日々を送るようになった。そんな健を救ったのは、昔自分も鑑別所にいたというピロン・ボトリン工場の工場長であった。だが、そんな小さな幸福もつかの間、出所したサブが、健を呼びだした。素手の健と数人の仲間をしたがえたサブ一味の決闘が始り、健はサブのナイフに刺されて倒れた。ほとんど絶望視された健の容体も、チエの献血と、健を想う必死の祈りに、次第に回復していった。やがて意識を回復した健とチエは感涙のうちに、しっかりと手をにぎりあうのだった。