生きている狼
劇場公開日:1964年5月23日
解説
小山崎公朗と井田探が共同で脚本を執筆「こんにちは赤ちゃん(1964 井田探)」の井田探が監督したアクションもの。撮影は「姿なき拳銃魔」の中尾利太郎。
1964年製作/83分/日本
配給:日活
劇場公開日:1964年5月23日
ストーリー
大正末期、吉原へぶらりとあらわれた山口明夫は、口入屋の手で遊郭に売られた妹の早苗を捜していた。宮本組が仕切るこの伝統ある遊郭も、女郎の悲惨な姿だけは、目を被うものがあった。人身売買が公然と行われ、口入屋“丸徳”の六造や銀次が生娘を宮本に売りつけていた。明夫は、そんな女の一人、お信を知ってから、一層、怒りがこみあげてきた。やがて、吉原でも、足抜きが流行った。おいらんの刺青をして、腕っぷしの強いこの男は、女郎たちの英雄となった。この男こそ、実は流しに扮した明夫だった。まもなく明夫は、浅草観音で妹によく似た千恵に出会った。村田組の一人娘である彼女の縁で、村田親分は明夫の早苗探しに一役かった。女郎の情報が詳しくなればなる程、憎悪を感じた明夫は、足抜きを試みては、遊郭を混乱に陥れた。宮本組は“おいらん権パ”の出現に手をやいていたが、依然正体はつかめなかった。そのころ早苗を女郎屋へ売り飛ばした張本人六造、銀次は、“おいらん権パ”の偽名を使って、悪業を重ねていた。ふとしたことから明夫が早苗の兄と知った銀次は、川崎の女郎屋にいた早苗を地下室に閉じこめると、ドスの名手健に、明夫を殺すよう命じた。一方明夫は親切な村田親分と千恵に、“おいらん権パ”の素性をうちあけた。村田親分は、明夫に、法をふみにじる事は許せないと、足抜きの不法を説いた。数日後、明夫は、母が危篤で帰郷するお信を三日間の約束で、自分の命とひきかえにうけた。しかし、約束の三日が過ぎても帰らない信子は、銀次の手で殺されていた。射殺されたお信の死体を見た明夫は、お信を殺しそこねて、逆にお信に助けられたドス健に、六造、銀次の企みを聞き、地下室へと駈けつけた。乱闘の末、探しもとめた妹早苗を連れて故郷に旅立つ明夫を、村田と千恵がいつまでも見送っていた。