山河ありのレビュー・感想・評価
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広島への原爆で亡くなったアメリカ人が居た様に
昭和の初めに、日本に居場所がなくハワイに移民した人々が貧しさのどん底から立ち上がり漸く安定した生活を得られたと思ったら、日米開戦によって国家の思惑・市井の人々の偏見に翻弄されるお話です。
本作を観て、そりゃそうだよなと思いました。広島への原爆で亡くなったアメリカ人が居た事は細々とながら伝えられていますが、同じように漸くハワイに定住できたと思ったら真珠湾攻撃で亡くなった日本人も居たに違いありません。でも、不勉強な僕はそんな話を聞いた事がありませんでした。それは日本人として伝えたくない、聞きたくない事だったのかも知れません。60年前、東京オリンピック(1964)に向けて日本が「明るく」邁進していた時代に、この視点は貴重だな。
踊れる女優
ハワイに移民した2つの家族の物語。第二次世界大戦の時期も入っているので、とてもとても辛い。ハワイロケができたのかわからないが、出てくるのはほとんど日本人で、現地の人っぽいのは花を摘んでいる人と、パレードの沿道の人くらいかな。白黒なので、ハワイじゃなくても、撮影はできそう。
高峰秀子は撮影当時は30代だと思うが、役の上では50歳くらいなのかな。喪服姿がスタイル良くて、妙に美しかった。あと、次男あきらのウクレレで踊るシーンがあるが、すごく上手だった。このために習ったのだろうが、運動神経、リズム感などセンスがあるんだね。
無名戦士の墓まで作れるアメリカは、やはりちゃんとしてるわ。あれだけ見ても、日本が負けるのは十分に納得できる。ハワイの日系人の苦労が偲ばれる作品であった。
BS松竹東急の「生誕100年高峰秀子特集」放送を録画で鑑賞。
山河あり
私はこの映画を小学校4年のときに観ました。自ら進んで観にいくわけはなく、今は亡き母に連れられての鑑賞でした。今から思えば、戦争が終わって15年しか経っていないときです。ハワイへ移民した日本人の立場から太平洋戦争を描いた作品で、二つの祖国を持ち、その二つに引き裂かれた家族の悲劇が進行します。実際にそういう立場に置かれた日系人は多いことでしょう。夫である松山善三が監督で、高峰秀子が母親役を熱演しています。田村高廣、小林桂樹、久我美子も好演です。私はミッキー・カーチスの演技が目に焼き付いています。泣けました。リバイバル上映されることはなかったと思いますが、ぜひ若い人にも見せて、戦争の悲惨さを忘れないようにしたい作品です。私自身がもう一度見たい!
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