「子供心を忘れない純粋さ」オペラハット 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
子供心を忘れない純粋さ
『スミス都へ行く』に続き、フランク・キャプラ監督の作品ということで鑑賞。段々この監督の作風が分かってきた。
今作は主人公ディーズの人物描写がよくできていると感じた。ディーズは子供心を忘れない、人一倍純粋な人なのだ。消防団の消化活動に勝手に途中参加したり、気に入らない人間を躊躇なく殴りつけたりするのは、自分の感情に素直だからだろう。毎回階段の手すりに乗って滑り落ちるのも、彼の子供心ゆえの行動だ。その純粋さ故に、新聞記者の女性ベイブに利用されているのに気づいた際には、物凄く傷つき落ち込んだ。そんな彼の傷ついた気持ちを、俳優のゲイリー・クーパーが、悲しそうな表情と佇まいだけで表現できていたのが秀逸だと感じた。
ベイブのドラムに合わせて歌うディーズとのセッションも微笑ましかった。ただ、二人の恋愛関係への発展が、尺の問題もあるだろうが早すぎる印象。欲を言えば、もう少し時間を取って二人の心の変遷を丁寧に描いて欲しかった。
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