不良姐御伝 猪の鹿お蝶のレビュー・感想・評価
全3件を表示
いつもの鈴木則文作品と違う。
タランティーノはこの作品を見ていて気に入っているという記事を読み
やっぱりね
と思った。と言うのも
伊賀野カバ丸
のなかでやってることと、そっくりなことをタランティーノも、とある映画オムニバスでやってるからだ。その映画を見たとき
タランティーノもこういうことを先に映画がやってることを知ったら驚くだろう
と思ったのですが、彼は知っていて敢えて模倣したのだと分かった。さすがタランティーノ。映画たくさん見てる。鈴木則文作品を複数チェックしてるとは凄い。
この映画は女優が役にピッタリ合っていて凄みのある出来に仕上がっていると思います。エッチシーンも興奮できます。いつもの鈴木則文監督のやっつけな造りと違ってちょっと力はいってる感が出ています。脚本はやっつけですが。でも、まとまりがあり、いつものごとく原作全部詰め込み式で中身が濃いです。クライマックスが複数あっていい原作に当たったと思います。
・・・これを人にお勧めするかというと・・・う~ん・・・ちょっと無理。でも私はこの作品、忘れません。
お竜さんに出来ない事でも、お蝶さんなら可能になる
日本映画史に輝く、緋牡丹博徒のお竜さん。藤純子の一世一代の当たり役。この名シリーズを生んだ鈴木則文監督が作り出した、もう1人のダーティヒーロー。
その名も《猪の鹿お蝶》。
九州の荒くれ男を相手に、凛とした立ち振る舞いをするお竜さんに対して。浅草生まれで、幼い頃に目の前で父親を殺され。女掏摸師としてお天道様の当たらない日陰暮らしで生きて来た、悲しい過去を持つ女。それがお蝶。背中に猪の彫り物を持つ男を探して生きる。
このお蝶が、決定的にお竜と違うところ…。それはズバリ!『緋牡丹博徒』では出来ない、《エロ》《グロ》そしてアクション等に於ける徹底した《ナンセンス》な描写。
この作品でも、いきなりお蝶が風呂に入っている時に、大勢のヤクザに殺されそうになる。お蝶を演じる池玲子の大胆なオールヌードに加え、スローモーションで展開されるアクション。絶妙に編集され、決して前バリが映り込む事は無い(笑)
相手を無常に斬り殺す決めポーズの美しさは、お竜さんの方が美しいが。お竜さんの時には出来ない荒唐無稽なアクションが、お蝶さんの時には可能になる。更に血糊で、池玲子の顔に乳房にと、大量に浴びせる事で、怨念の激しさを表現出来る。
相手を斬り殺し、画面上に赤い色がどばーっと広がり、空から大量の花札が舞い散る。
赤い情念の華が舞うお蝶の世界。
時代背景を考慮した美術セットの美しさも注目です。
全3件を表示