脱出(1972・日本)

解説

殺人犯のハーフを日本から脱出させようと試みる五人の若者達、果して彼らの真意は何か?脚本は、岡田文亮と「銭ゲバ」の和田嘉訓。監督も同じく和田嘉訓、撮影は「日本一のショック男」の鷲尾馨がそれぞれ担当。東宝系での公開予定であったが諸事情により公開されなかった。

1972年製作/日本

ストーリー

ハーフの岡田サチオにとって、その日は日本で最後の日として平凡でいくらかセンチメンタルな一日として終り、明朝十時には“ぶらじる丸”に乗っている筈であった。新宿廿一時--今まで勤めていたバー“黒猫”に別れの挨拶に寄ったところ、酔った外国人と大喧嘩となった。サチオは男の髪を掴み壁に打ちつけると、男は崩れ折れた。サチオはパトカーに追われるようにスナックに逃げ込むと、彼の前に現われた五人の若者達、トップ屋の白川つとむ、大学生の高梨隆一、歌手志望の鈴村進一、ゴーゴーガールの山田アキコ、そしてヒッピーのダミイ。彼らは警察をだし抜き、サチオのブラジル行きを助けようとする。横浜廿三時--彼らは太陽重工の部長、左右田英介邸を占領。英介を監禁することによって、彼らの計画が始まりだした。暴力革命を標榜する高梨は、桟橋を火炎ビンで襲い混乱に乗じてサチオを船に乗せようと提案した。しかし本当の狙いは米軍瑞穂埠頭を仲間と襲撃するのが目的だった。鈴村は英介を助けることにより歌手への道が約束される。ダミイは自分が麻薬のもつれからサチオに倒された男を刺殺しているため、殺人犯としてサチオを“ぶらじる丸”に乗せてしまえばと考える。アキコはサチオを愛するあまり、自分も一緒にブラジルに行こうと考え、白川は大スクープを狙って、彼らはそれぞれ自分の望みを実現させるためにサチオを利用するのだった。午前七時--ダミイが英介を殺し外国人殺しも自供した。今のサチオにとっては高梨の計画を実行するしかなかった。午前九時三十分--サチオ、アキコ、鈴村の三人は大桟橋に行ったが高橋達は来なかった。自分達はオトリにされたのだ!その時“ぶらじる丸”のドラが鳴った。はじかれるようにアキコはパトカーめがけ火炎ビンを投げる。同時に横浜の街々に集まっていた過激派学生が交番・銀行を次々と火炎ピンで襲って行った。大磯橋埠頭午前十時--高梨達が乗るモーターボートが瑞穂埠頭に突っこんで行くとパトカーも米軍埠頭へと移動を始めた。米軍埠頭から火炎ビンの炸裂音、巡視艇のサイレンの響き、銃声の断絶音がサチオに聞えて来た。午前十時三十分“ぶらじる丸”はすでに岸壁を離れている。サチオは連絡用のランチにとびのり“ぶらじる丸”に向って行く、長かった十二時間の殺人犯の汚名も消え、サチオの手には、しっかりと握りしめられたパスポートがあった。

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