3000キロの罠
劇場公開日:1971年5月22日
解説
俳優の田宮二郎が設立した田宮企画の第一回作品。原作は、推理小説や現代的な感覚で描く股旅物で人気のある笹沢左保の同名小説。脚本は「喜劇 昨日の敵は今日も敵」の石松愛弘。監督は「喜劇 ソレが男の生きる道」の福田純。撮影は「刑事物語 兄弟の掟」の逢沢譲がそれぞれ担当。また音楽は前田憲男が打楽器を中心にした新しいバンド編成でジャズ調の主題曲を作曲した。
1971年製作/89分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1971年5月22日
ストーリー
鹿児島で観光レジャー業に精力的な活動をしている若き青年実業家加瀬啓介は、日本海側を征服しようという夢を持ち、視察に出発しようとする時、義父の正造に、稚内の丸仙デパート社長にプレゼントするギャランGTOスポーツカーの陸送を頼まれる。その前夜、何故か激しくいどむ妻麻知子。そして、「出発はよせ」という謎の男の電話。何かが啓介を待ちかまえているようだった。しかし、啓介は、そんな事とはつゆ知らず鹿児島から北海道の稚内まで三〇〇〇キロの縦断ドライブに出発する。まず啓介の前に現われたのは、人に追われて着のみ着のままで逃げてきたという黒村雪絵。そして啓介を追って来る高級デボネア。その運転手は、啓介の経営するホテル南山の地下にある薩摩料理店の女主人曽根崎朝子だった。啓介は由布院の町でお神楽の踊りを見た日、夕闇にとけ込むように通り過ぎる妻の姿を見た。そしてその夜、謎の男の電話により、雪絵は黒川という男に頼まれ、啓介の行先を連絡していたスパイだった事が判明した。スパイとわかったものの、やさしい雪絵に啓介は魅せられ、雪絵も啓介の男らしさにひかれていった。松江城でも啓介は、鹿児島にいるはずの妻の姿を見かける。自分の眼を疑った啓介は、鹿児島に電話するが麻知子は確かに家にいた。翌日、丹波の山道で大型トラックが啓介の車を襲う。見えなかった敵は、いよいよ攻撃を開始してきた。亀岡市で、雪絵は何者かに誘拐されてしまう。啓介は必死に雪絵を捜したが、雪絵は死体となって発見された。そして、能登半島。走る啓介の前に現われたのは、断崖から身を投げようとしている女楠本奈美子だった。彼女を助けた啓介は意外な事実を知る。奈美子は、雪絵を殺したと思われる黒川こと君塚に捨てられたのだという。そして君塚は、義父の正造が経営する白十字デパートに勤めていたのだ。義父がこの事件にどんな役割を果しているのか。奈美子は姿を消し、最上川に死体となって浮ぶ。再び啓介を襲うダンプカー。啓介はとうとう気力が尽き、倒れてしまう。十和田湖畔で目をさました啓介の前に麻知子がいた。女が啓介を運び、麻知子に電話したのだという。いったいその女は誰なのか。麻知子は鹿児島に帰ろうと訴えたが、啓介はどうしてもやりとげるのだと自らに誓い青森からフェリーに乗った。フェリーにはこの事件の黒幕かも知れないと思われる朝子がいた。啓介は、朝子に強い疑いを持つが、朝子は意外な人物の名前を告げ、啓介は大きなショックを受ける。登別で啓介と一夜を過ごした朝子は、旭川で姿を消し、殺された。啓介はサロベツ原野を走った。鹿児島から三〇〇〇キロ、終着点だった。そして、そこで啓介を待ち受けていたものは、意外にも義父の正造だった。