地球へ…
劇場公開日:1980年4月26日
解説
はるか未来の宇宙文明を舞台に、地球をめざす少年の愛と勇気を描くアニメーション。『マンガ少年』に連載された竹宮恵子の同名の漫画の映画化で脚本は「しあわせ」の恩地日出夫と塩田千種の共同執筆、監督も同作の恩地日出夫、撮影は吉村次郎、池田重好がそれぞれ担当。
1980年製作/119分/日本
配給:東映
劇場公開日:1980年4月26日
ストーリー
SD五〇〇年、地球は天然資源の枯渇、人口増大、環境汚染などのため滅亡寸前の状態となっていた。その対策として、地球から二万光年離れた人工惑星、アタラクシアに幼年育英都市を設け、生れてくる子供に社会の清浄化に役立つための特殊な教育を施し、十四歳の“目覚めの日”に成人検査を受け、合格した者だけが地球へ送られることになった。だが成人検査は管理社会の異分子である超能力人類“ミュウ”を生みだした。過酷な弾圧を受けるミュウはアタラクシアの地下に潜み、地球へ帰る日を夢見た。ミュウの長ソルジャー・ブルーは、三世紀に渡る寿命を燃やし尽そうとしており、後継者としてジョミーを選んだ。最初は拒否したジョミーも、ソルジャー・ブルーの死で長として地球へ向う決意する。成人検査をパスした少年たちが地球へ向う前に受ける最後の教育をするE一〇七七教育惑星に、超エリート少年、キースがいた。キースはコンピューター“マザーイライザ”によって作られたアンドロイドで、故郷も母もない絶望をミュウへの憎悪に転化して生きる決心をしていた。一方、ジョミーに率いられアタラクシアを脱出したミュウは、地球辺境の惑星ナスカを仮の安住の地とした。そして、ジョミーとカリナの間にトォニイという子供が生まれた。五年後、コンピューター・グランドマザーの信任を一身に受けるキースは、ナスカを偵察中、ミュウに捕まってしまう。キースを見たトォニイから強烈な思念波が発せられ大爆発が起った。キースは連れ歩いている少年ジョナに助けられた。カリナはそのトォニイを探して息絶えた。十年の歳月が流れ、ナスカの崩壊で八割を失ったミュウもトォニイを中心に組織を強化、大船団を組んで地球へ向っていた。そして、地球防衛軍とミュウとの最後の戦いが火ぶたを切った。ジョミーはグランドマザーを破壊し、自らも倒れてしまう。死にかけているキースの前に、地底から巨大な影が出現した。グランドマザーに直結され、その死とともに目覚めるようにセットされていたコンピューターテラだ。テラは「人類は、生命の誕生をも管理するSD体制を作った。しかし、それが完壁なものであるとの確信がなかったので、正反対の因子の生命が誕生するようにプロセスに組み込んだ、それがミュウだ」と語る。キースの上に土砂がくずれおちてきた。ジョミーの死体とともに埋もれていく。人類とミュウの未来を、宇宙の彼方から見守るために、トォニイたちは宇宙へ戻っていった。破壊された地上にたたずむ残された人間たちの上に、新しい太陽が昇りはじめた。