太陽は泣かない(1976)

劇場公開日:

解説

難病の一つであるベーチェット病に体を犯された青年の力強く生きていく姿とともに社会福祉のあり方とは何かを描く。脚本は「青春の構図」の石森史郎、監督は飯塚二郎、撮影は「淫絶夫人 快楽の奥」の高村倉太郎がそれぞれ担当。

1976年製作/100分/日本
劇場公開日:1976年3月15日

ストーリー

明昭大学4年の中原潤は、将来を嘱望されたサッカーの選手である。恋人の松本千春とは両親も認めた仲であり、故郷・尾道にいる姉の信子への便りには千春の事ばかり書かれてあった。その年のサッカー・リーグ戦の試合中、潤は視界いっぱいに広がった黒点にボールを見失い、それが原因で試合は負けた。ベーチェット病の前兆だった。一瞬にして全く原因不明の病にかかってしまった潤はサッカーを諦めなければならず、入院した。だが、潤を励ます多くの人たちがいた。千春、信子、宮崎看護婦、歩道橋の女、そして同病の伊東たちである。彼らのおかげで精神的には立ち直りかけた潤ではあるが、生計をどうしてたてたらいいのか、社会の壁は厚く、ベーチェット病の潤は相手にされないのだ。職安から工場へ何度も足を運んだのだが、簡単な仕事すらもらえなかった。また、視力障害センターへ入って社会復帰をと願ったが、ここも門は狭く、潤は途方にくれてしまった。やがて、千春との仲も、彼女の将来を考えると続ける事ができず、涙をのんで別れた。故郷を一望に見渡せる丘の上に潤は立った。そして、なつかしい故郷の景色をながめているうちに、この逆境の中を死にものぐるいで生きてみようと決意した。どのような抑圧を受けようと、生きる道はどこかにあるはずだ。生きなければならない。心の眼を大きく開いて、今日を、そして明日を。決して“太陽は泣かない”のだから。

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