涙のあとから微笑みが

劇場公開日:

解説

妹と二人暮しの青年が汚れなき恋人の愛に感謝し、美しい友情に涙し、踏まれても蹴られても強く逞しく生きていく姿を描く青春映画。脚本は「愛ってなんだろ」の田波靖男、監督は「ひとつぶの涙」の市村泰一、撮影も同作の小杉正雄がそれぞれ担当。

1974年製作/87分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1974年3月30日

ストーリー

幼い頃、両親を亡くした中根徹は、中学を出ると造船所の溶接工として働きに出た。明るく可愛い高校生の妹・伸子との二人暮しは幸福だった。徹には中学時代の親友・大村忠雄と浦松雄三がいる。忠男は徹と同じ造船所に、雄三は陸送の運転手をしている。ある休日、三人はドライブに山かけた。ところが雄三のちょっとした不注意から少年をはねてしまった。徹は、雄三が田舎の母や妹たちに仕送りしており、この事故による免許停止の処分を察して、身代りになった。幸い少年は軽傷だったが、少年の姉・市橋邦子は、見舞いに来た徹の頬を思いきりぶった。だが数日後、徹が身代りであることを知った邦子は、徹の優しさに好意を感じた。邦子は、徹の造船所の下請け会社に働きながら父親のいない家庭の生活を支えていた。やがて、徹と邦子の交際が始まった。石油危機による不況の荒波は造船所にも押し寄せて釆て、徹も忠男も自宅待機となった。そんなある日、徹は人事課に勤務する河村奈美から人員整理の対象は独身者であることを知らされ、忠男と恋人の和代に結婚をすすめた。忠男たらは結婚した。だが、楽しいハネムーンから帰って来た二人のもとに解雇通知が届いていた。一方、徹は残留となった。徹は人事課長の吉見と奈美の情事を知っていたからだった。忠男は徹が吉見にうまく取入ったと思い徹を憎んだ。その頃、邦子の会社も倒産してしまい、邦子は徹に黙ってキャバレーのホステスとして働く決心をした。数日後、ビル工事の作業員として働いていた忠男が転落死した。徹は泣き崩れる妊娠中の和代を前にして呆然と立ちつくすのみだった。さらに徹を悲しませる事件が起った。奈美が結婚の約束を守らない吉見を恨んで自殺を計ったのだ。徹は純真な奈美をもて遊んだ吉見を許せなかった。徹の怒りが爆発した。彼は吉見を呼び出すと狂ったように殴りつけ、辞表をたたきつけた。退職金を和代に渡した時、徹は何となくさっぱりとした気持だった。数日後、駅前のやきとり屋台。忙しく働く徹のそばにそっと一人の女が近づいた。邦子である。「いらっしゃいませ!」「毎度どうも!」と二人の威勢のいい声が夕方の雑踏にかき消されそうだった。

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