ペンギンズ・メモリー 幸福物語のレビュー・感想・評価

プレミアムじゃない方のYouTubeで鑑賞
二度目の鑑賞
一度目はテレビだったかもしれないしVHSだったかもしれない
おそらくおよそ約40年ぶりかそれに近い鑑賞になるかもしれない
U-NEXT頑張れ

サントリービールのCMキャラとして話題になったパピプペンギンズを元に急遽制作されたアニメ映画
VHS化されたがDVD化されていないしYouTube以外動画配信もされていない
たしか去年パピプペンキンズのガチャガチャが登場しカルトに再注目された
映画ではマイクとジルという役名だがパピプペンギンズではパックとピッキーというれっきとした名前がある

ペンギンの擬人化が滑稽でならない
擬人化だから池のカルガモを愛でるし小鳥を飼ったりする
こういった作品や鳥獣戯画を悪用し馬の美少女化と一緒くたにして正当化する動きが一部であるが正当化する必要もないしそもそも全く別物だからやめてほしい

ベトナム戦争を連想させる冒頭シーンは現代に生きる者からすれば若干時代錯誤な感はあるが1985年公開作品
泥沼化したベトナム戦争が終結したのは75年だからそれは10年前の出来事
可愛いキャラクターと缶ビールのCMの内容からすれば全体的にシリアスな展開はかなり発想を飛ばした感がある
CMの時点ではこの話はなかったはずだ
YouTubeのコメント欄は概ね高い評価だが自分としてはまあ微妙な感じ
ウクライナやイスラエルの今の状況でこういう作り話の戦争モノで感傷的になることは自分にはできない
ハリウッドの青春映画のオマージュらしいが元ネタは知らない
松田聖子の代表曲の一つ『SWEET MEMORIES』に多めの英語の歌詞はこの映画の雰囲気にピッタリ

バッドエンドかと思いきや最後の最後にジルが現れハッピーエンド
副題が幸福物語だからね
結局のところ小鳥のチコが重要なキーパーソンになった

声当て専門ではない俳優と声当て専門俳優のコラボレーション
主人公は佐藤浩市だったのね
ジルのママは藤田弓子

音楽プロデューサーはなぜかオネエ口調のケーシー高峰
彼だとわかると「一発」という単語も別の意味があるのではないかと邪推してしまう

ベトナム戦争は自分が生まれる前に始まり物心がつく前にベトナム戦争は終わった
1985年はまだ子供だった
作り手と同じ思いを共有するには幼かった
ベトナム戦争なんて教科書に載っているような遠い昔の出来事というのが当時も今もそれが自分の現状
ナパーム弾の少女を児童ポルノに認定するような世界的大企業が存在する現代を自分は生きている

大絶賛するほど傑作ではないがそこそこの出来で悪くない
東京の小劇場でリバイバル上映があったならデートコースの一つとして2人で鑑賞するなら丁度いいかもしれない

声の配役
故郷を捨て放浪の末に図書館員になった退役軍人のマイク・デイビスに佐藤浩市
歌手志望でマイクの恋人のジルに鶴ひろみ（歌唱は松田聖子）
レストラン「オハラ」のオーナーでじつはジルの母親のマダム・オハラに藤田弓子
マイクの恋敵で外科医のジャックに奥田瑛二
レコード会社のプロデューサーのボブ・アダムスにケーシー高峰
ジルの父親で病院経営者のドクター・モウに鈴木瑞穂
流れ者のマイクが勤めることになる図書館の館長に久米明
戦友のアルに阿藤快（当時は海）
戦友のトムに林家正蔵（当時はこぶ平）
マイクの妹のナンシーに沢田富美子
ジャックのガールフレンドのスーザンに増山江威子
マネージャーに青野武
裁判官に宮内幸平
看守に矢田耕司
カジノの男にたこ八郎
ピアノ弾きに所ジョージ

ベトナム帰還兵のロードムービーを何故かペンギンがやってるアニメ。
作画クオリティも高く、シナリオの運び方も丁寧な良質な差にメーション。
だが、作品としての個性を「ペンギンがやっている」ということ以外にまったく求めることができず心に残るものがない。心に傷を負った退役軍人のロードムービーのテンプレをなぞっているだけで別段の工夫を感じない。
CMの人気キャラでこんなヘンテコな長編アニメ作れるくらい、景気が底抜けに良かったのだろう。在りし日の日本をしのぶアニメ。