「氷の女帝の復讐は、悲劇で始まり破滅で終わる」ニーベルンゲン クリームヒルトの復讐 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
氷の女帝の復讐は、悲劇で始まり破滅で終わる
ドイツの国民的叙事詩をフリッツ・ラングが映画化したサイレントの名作後編。
タイトル通り、愛するジークフリートを奪われたクリームヒルトの壮絶な復讐劇が描かれる。
第1部はまだ冒険ファンタジーや英雄物語の形を取っていたが、本作は愛憎渦巻く史劇。スペクタクルなアクション・シーンもアリ。
困ったちゃんでしかなかったクリームヒルトが、復讐という狂気に駆られていく様は恐ろしいほどに凄みがある。
と同時に、過去を忘れられず、取り憑かれた姿は哀しくもある。
妬み、策略、裏切り…。
第1部でも蠢いていたドス黒い感情は、遂には、憎悪、殺意、哀しみへ。
何処で歯車が狂ったのか。一個人に芽生えた浅ましき感情が、やがて国同士や関わった人々の破滅にまで広がっていく。
これは紛れもなく、悲劇の物語だ。
計5時間たっぷり堪能。
このままでも充分面白いが、現代の技術をフルに駆使して新たに映画化してみても面白いと思う。「ロード・オブ・ザ・リング」や「グラディエーター」にも匹敵する事だろう。
そんな夢すら浮かぶ、色褪せない古典!
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