逃げちゃ嫌よ

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解説

「女の心」「夢見る唇」と同じくエリザベート・ベルクナー主演の、パウル・ツィンナーの監督になる映画で、このコンビの渡英第二回作品である。原作はマーガレット・ケネディーがベルクナーのために書卸した戯曲で、これに基いてカール・ツックマイヤーとR・J・カレンの二人が脚本を作成し、撮影には「パリ祭」「自由を我等に」のジョルジュ・ペリナールと「アルプスの血煙」「ウィリアム・テル(1933)」のゼップ・アルガイヤーこの二人が協力した。助演者は英劇壇のヒュー・シンクレアを始めとしグリフィス・ジョーンズ、社交界社身のペネロープ・ダドリー・ウォード、レオン・クォーターメイン、リン・ハーディング等である。

1935年製作/イギリス
原題:Escape Me Never

ストーリー

物語は水郷ヴェニスから始まる。ジェマ・ジョーンズは奇矯な、だが愛らしい娘であった。彼女は父なし子を抱えて身一つで病院から追い出されたが、有名な作曲家アルバート・サンガーの息子で、これも貧乏で、自堕落な生活をしてるセバスチャンに助けられ、彼と一緒に住んでいた。セバスチャンの弟キャリルも作曲を志していたが、彼はこの地に滞在しているスコットランドの金持の令嬢フェネラと恋仲であった。ところが或る日、ジェマが彼等の住むネロニ宮殿に食を盗みに行って捕まり、サンガーと同棲していると言ったので、フェネラはそれをキャリルと思い違えて、この恋仲は破れた。そして彼女は両親とともにドロミテに去って行った。後でこれを知ったセバスチャン、ジェマ、キャリルの三人はジェマの赤坊を連れて、道々小さな演奏会を開きながら、フェネラの後を追う。ところで、あるホテルで彼等はフェネラに行き会ったが、セバスチャンはかえって彼女と恋仲となってしまう。キャリルはこの事を知らなかったが、ジェマは嫉妬に堪えかねて、セバスチャンを置去りにロンドンに行ってしまう。こうなると彼の方もジェマを忘れ難く、その跡を追い二人はロンドンで結婚する。一方、キャリルは音楽出版所に勤め、フェネラと婚約した。セバスチャンはオペラで上演するバレー曲を書くのに忙しかったが、その間もフェネラとは始終会っていた。この利己的で天才を鼻にかけた夫を助けるために、家計の資を稼ぐのはジェマで彼女は赤ん坊を残して毎日働きに出ていた。だがそうしてジェマが苦しみ、キャリルが疑いに悩むようになっている頃、ジェマの赤ん坊は手当の不行届きから病になり、病院に入れた時には、もう死んでいた。その夜、こうとは知らぬセバスチャンのバレー曲はオペラで上演され大喝采を博した。ジェマの姿が見えぬので、彼はてっきり彼女が己れを棄てたものと思い、フェネラとともに馳落する事を考えた。その時、キャリルがセバスチャンを懲して、フェネラを伴い去った。そしてジェマは失神したようになって帰って来た。セバスチャンは前非を悔い、ジェマと相携えてヴェニスに帰り、何かまとまった仕事を探すこととなる。

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