ハンネレの昇天
解説
ドイツの文豪ゲルハルト・ハウプトマン生誕七十年記念として昨年映画化されたものである。フリッツ・ラング作品の殆ど全部を脚色したテア・フォン・ハルボウが自ら戯曲を脚色し、処女作品として監督に当った。キャメラは「今宵こそは」「女人禁制」のロベルト・バベルスケが担当し、音楽は「ジーグフリード」のゴットフリート・フッペルツが編曲した。主役は「少年探偵団」「M」のインゲ・ランドグートが演じ、「少年探偵団」のケーテ・ハーク「怪人マブゼ博士(1932)」のルドルフ・クライン・ロッゲ、テオドル・ロース、ハインリヒ・シュロト、エルンスト・レガル等が共演している。
1934年製作/ドイツ
原題または英題:Hanneles Himmelfahrt
ストーリー
ドイツのとある山村で村人から毛虫の様に嫌われている飲んだくれの石屋マッテルンは、後妻とその連れ子ハンネレを毎日悪鬼のように虐げていた。しかしハンネレは心やさしい少女で非道な父に孝養を励み、その改心を祈った。ところがある冬の寒い日ハンネレの母は苦しみに堪え兼ね、池に身を投げてしまった。しかし父親の荒んだ心はその後益々兇暴になり、ハンネレの体には生傷の絶え間がなく、その上酒を買う金を得る為に物乞いをもさせるのだった。小学校の先生ゴットワルトはそれを可哀想に思い母亡き後ハンネレを何とかいたわった。母の死後三週間目のある夜、霙まじりの雪が横なぐりに吹きつける大嵐の中をハンネレは父のために物乞いに出掛けたが、母が身を投げた村の池へさしかかった時、氷の破れ目に母の面影をみて我を忘れてその方へ惹かれて行った。池の中からハンネレを救い上げたのは木樵のザイデルだった。ちょうどそこへ通りかかったゴットワルト先生と二人で近所の貧民宿泊所へと担ぎ込んで介抱した。ようやく気がついたハンネレは白衣姿の看護尼マルタを天国から迎えに来た天使だと思った。そしてマルタ尼の静かな子守歌をきいてるうちに次第に幻影の世界に運び込まれた。それは美しい花嫁の着物を着た彼女の盛大な葬式の様子だった。ハンネレは鳶色のマントを着たキリスト様の面影のある男の人に手をとられて天国へ通じる階段を上って行った。そして現実のハンネレも今は後悔した父やゴットワルト先生等に見まもられつつ、母のいます天国を幻に描きつつやすらかな微笑みを浮かべて昇天したのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- テア・フォン・ハルボウ
- 脚色
- テア・フォン・ハルボウ
- 原作戯曲
- ゲルハルト・ハウプトマン
- 撮影
- ロベルト・バベルスケ
- 編曲
- ゴットフリート・フッペルツ