ニーベルンゲン ジークフリード
解説
“ニーベルンゲン”(Die Nibelungen)の前編。ドイツ古代の伝説に基き、テア・フォン・ハルボウ女史が脚色し、女史の夫君で「ドクトル・マブゼ」等を監督したフリッツ・ラング氏が監督の任に当り、デクラ・ビオスコープ社が二個年の努力によって完成された真に偉大なる映画である。「ジーグフリード」の続篇である「クリームヒルトの復讐」も、同年(1925年)公開されている。「ジーグフリード」の主役は「ドクトル・マブゼ」主演のパウル・リヒター氏で、その他「カラマーゾフ兄弟」「アルゴール」出演のハンナ・ラルフ嬢や、マルガレーテ・シェーン嬢、テオドル・ロース氏等が出演している。無声。
1924年製作/ドイツ
原題または英題:Die Nibelungen Siegfried
ストーリー
ゲルマン古代の伝説である。ネーザーランド王ジークムンドは王子ジークフリードに剣鍜つ業を修めしめんと、その頃鍜冶の誉れ高かったニーベルング族の老ミーメの洞に遣わした。数年の後ジークフリードは立派な若者と成りミーメに別れを告げてグラニと呼ぶ白馬に跨り、アルベリッヒの窟に「ニーベルングンの宝」を得んと出発した。ウォルムスの谷に於てジークフリードは名剣バルムンクを揮って火龍を殺したが、血迸って掌を焼いたので、思わず唇を当てれば、不思議や彼は梢なる小鳥の歌を解した。それによって火龍の血に全身を浸して不死身と成ったが、枯葉一つ背に舞い落ちて、僅かばかり血潮のかからぬ部分が出来た。ジークフリードはアルベリッヒを斃したが、その時アルベリッヒは「ニーベルングンの宝」に呪を与え、自ら石と化して死んだ。ジークフリードは隠れ簑を獲て、ラインを指して急いだ。グンター王の城で、彼は美しき王妹クリームヒルトを見て、二人の間には恋心が起ったが、王の股肱ハーゲン、トロンエはジークフリードに難しき試練を与えたので、雄々しきジークフリードは北極光紫に映ゆるアイスランドで強勇の女王プルンヒルダと戦技を競うグンター王を援け、隠れ簑によって王のためにプルンヒルダを破り相携えてプルガンディー城に帰って来た。王とプルンヒルダ、ジークフリードとクリムヒルト四人の婚礼は開かれたが、プルンヒルダは剛勇無双のジークフリードを慕っていたので王に冷たい態度を見せていた。ジークフリードは王に頼まれ変身の簑もて王に姿を変え女王の心を試みたが、この事を知ったプルンヒルダは怨み憤って、さきにクリームヒルトを欺いてジークフリードの不死身の秘密を知っているハーゲン・トロンエと計り、鹿猟の日、彼の背に槍を投げジークフリードを殺した。愛惜と悔恨に胸破れ、プルンヒルダも又彼が亡骸の側に自殺を遂げた。永く呪と復讐の誓いを立てたクリームヒルトは唯黙して冷たい涙を流していた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- フリッツ・ラング
- 脚色
- テア・フォン・ハルボウ
- 撮影
- カール・ホフマン
- ギュンター・リター
- セット
- オットー・フンテ
- 音楽
- ゴットフリート・フッペルツ