絶壁の彼方に

解説

「夜霧の都」と同じくフランク・ローンダー(製作)とシドニー・ギリアット(共同製作・脚色・監督)のチイムによる一九五〇年度作品で、政治的な寓意をこめた活劇スリラアである。撮影はロバート・クラスカー、音楽はウィリアム・オルウィン(ともに「邪魔者は殺せ」)が担当する。主演は「船乗りシンバットの冒険」のダグラス・フェアバンクス・ジュニア。彼をめぐって「恋の人魚」グリニス・ジョンズ、「落ちた偶像」のジャック・ホーキンス、「間諜M1号」のハーバート・ロムらが共演する。

1950年製作/イギリス
原題または英題:State Secret

ストーリー

アメリカの著名な外科医ジョン・マーロウ博士(D・フェアバンクス・ジュニア)は、ロンドンに旅行している間、東国のヴォスニア国から彼の功績に対して賞を贈り、且つ公開手術を行って貰いたいという要請を受けた。ヴォスニアは政治的に西欧諸国と対立している独裁国なので、マ一ロウはためらったが、学問と政治とは別問題であるとひとり同国へ旅立った。国賓的な歓迎を受けた彼はいよいよ手術に取かかったが、偶然患者が他ならぬ同国の独裁者ニィヴァ首相(W・リラ)であることを知ってしまった。手術の結果は良好だったが、国家機密を知られた同国のガルコン大佐(J・ホウキンス)は直ちにマーロウを檻禁同様に拘束した。そのうちに首相の容態は急変し、マーロウの努力にも拘らず、彼は死亡した。死の秘密を知るマーロウは、白分の命さえ計り難くなったことを知り、ついにガルコン大佐の許を脱出して、追手の眼を眩ましつつ、ある寄席劇場に逃込んだ。そこにいた女主人の英国ハーフのリザ(G・ジョンズ)を語らい、彼女を伴って様々のスリルを味いながら、二人は国境近くの山へかくれた。しかしガルコン大佐の手は迫り、ついに二人は逮捕された。がこの時、首都ではニィヴァの替玉が暴徒のため暗殺され今やその死が公然のこととなったニュウズが伝わった。間一髪で二人は国外へ退去するチャンスを得た訳である。

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