夜のダイヤモンド

劇場公開日:2026年4月10日

解説・あらすじ

チェコスロバキアの作家アルノシュト・ルスティクが、第2次大戦時にナチスによって強制収容所に送られる列車から脱走した自らの体験に基づいて書いた小説「闇に影はない」を映画化。強制収容所に向かう貨物列車から飛び降りた少年の逃避行を、フラッシュバックや現実と内面がモザイク状に交錯する刺激的な映像を用いて描く。

強制収容所へと向かう貨物列車から脱走した2人の少年。疲れきった体でプラハへと向かう彼らは、途中で自警団とおぼしき老人集団に捕まってしまうが……。

「黄金の60年代」とも呼ばれたチェコ・ヌーベルバーグを代表する映画作家のひとり、ヤン・ニェメツの長編監督第1作。原作者アルノシュト・ルスティクが脚本に参加。日本ではATG配給で1968年に公開され、2026年4月に特集上映「チェコ映画傑作選」で初のリバイバル公開。「チェコ映画傑作選」では、同じ「闇に影はない」を原作としたヤン・ニェメツの短編「一口のパン」が併映される。

1964年製作/67分/チェコスロバキア
原題または英題:Démanty noci
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2026年4月10日

その他の公開日:1968年9月14日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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Source: Národní filmový archiv, Praha

映画レビュー

未評価 1964年の『異端の鳥』

2026年6月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ナチスの絶滅収容所送りとなる列車から逃げて、人目を避けながらひたすら走り続ける二人の青年を描いたチェコ映画作品です。

 台詞は切り詰めて、モノクロ映像で途切れる事の無い緊張感が続きます。この肌触りは何だか覚えがあるなと思ったら、同じような状況を同じ様な映像で追い続けた僕の大好きな『異端の鳥』(2020) と結びつきました。あの作品もチェコ映画です。おそらく本作の影響下で撮られたんじゃなかったのかな。

 そして、本作の上映前には、同じくヤン・ニェメツ監督の短編『一口のパン』が上映されました。『夜のダイヤモンド』のイントロとも言える僅か11分の物語なのですが、この緊張感が凄かった。これが卒業制作だなんて驚きです。古今東西、僕の知らない凄い作家は幾らでもいるんだな。

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La Strada

4.5 タイトルなし(ネタバレ)

2026年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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りゃんひさ

3.0 多用されるフラッシュバックにやや食傷気味となりました。

2026年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「チェコ映画傑作選」の中の一作。

軍用列車から脱走した二人の少年の顛末を描くスト-リー。

冒頭の軍用列車からの脱走シーンは疾走感にあふれていて、その後の展開を期待させる。

が、飢えの過酷さはひしひしと伝わってくるものの、フラッシュバックが頻繁に繰り返され、またそれらが同じようなシーンばかりなので、段々と飽きてくる。

また、追う者と追われる者のサスペンスもなく、ストーリーの起伏に欠ける。

68分と短めの上映時間ながら、体感的にはそれよりも長く感じられる作品でした。

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リモ吉

3.0 森の中を逃げ続ける二人の少年。切実なアクションはやがてアラン・レネ風に変化し……。

2026年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

冒頭だけなら傑作といっていい。
白ちゃけた画面。
列車から飛び降りる二人の少年。
走る! 走る! 走る!
いきなりクライマックスだ。

どこまでも「切実」なアクション。
命を懸けて駆ける二人の少年を、
ひたすらカメラは横から撮る。
ただそれだけで、これほどまでに
ひりついて、追い詰められた、
息をのむアクションが生まれるのだ。

少年たちが森に逃げ込んでも、
静かに「切実」なアクションは続く。
たとえ二人の動きが単調で、
のろのろ、とぼとぼとしていても、
アクションの真摯さは変わらない。
薄暗い林床のしじまに響く呼吸音。
踏みしだかれた枝の立てる乾いた音。

果てなき森をひたすら歩く。
食べるものは何もない。
単調で、終わりの見えない逃避行。
そんな疲れ切った二人にとっては
通り雨はむしろ慈雨ですらある。
土砂降りのなかで一瞬戻る笑み。
なにかこちらまでほっとする……。

と、そのあたりまでは、本当に没入して観られたんだけど……(笑)。
ドキュメンタリータッチで、ひたすら二人の少年を追っている間は。
ただ、ついに農夫とその妻を見つけて家にたどり着いて以降は、少しムダに凝り過ぎていて、期待していたものと大分ずれてしまった感じがしたかも……。

アラン・レネの影響を濃厚に受けているのは、よーくわかる。
あるいはルイス・ブニュエルとか(アリがたかるシーンが繰り返されるのは、間違いなく『アンダルシアの犬』を意識しているんだろうね)。
フラッシュバックやフラッシュフォワードを駆使しながら、現実と幻想、過去と現在をわやくちゃにシャッフルして、くたびれ果てた逃亡者の混乱した認識自体を再現しているのだろうこともわかる。
ただねえ、あまりに同じシーンの繰り返しが多くて、さすがに最後はうんざりしちゃったんだよね。

ここまで実験的な撮り方をしなくても、むしろネオリアリズモ的なアプローチで最後まで貫いたほうが、監督の描きたかったことって、観客にはストレートに伝わったんじゃないかな、と。

60分強の映画なのに、2時間くらい見させられたような気になってしまった。
しかも、あのエンディングで投げっぱなしだからなあ。
「実際にどうなったか」は、結局のところ我々の想像に託されているってこと?
正直、すっきりもしないし、あんまり釈然ともしない終わり方だったような。

いや、アラン・レネやルイス・ブニュエルみたいに「不条理」や「晦渋さ」が映画にとって間違いなくプラスに働いていたら、別に文句なんかいわないんだけど(不条理で理解できないとか、理屈が通らないとか、説明が足りていないとか、それ自体で映画を判断したことは僕は一度もない)、この映画の場合は、いささか独りよがりというか、何度も何度も何度も似たシーンをリピートする(しかもその映像が挿入される意味もよくわからない)ことが映画の益になっているようにはどうしても思えない、ということだ。
やってることが、どうもしつこすぎる。
これだと観客は、むしろ退屈したり、集中力を削がれたりするだけなんじゃないかな?

とはいえ、少年二人の苦難を追体験する、という映画の主眼の部分においては、十分にしんどく重たいものを観させられた感じがする。

とにかく、躍動感があったのは最初だけで、
歩けば歩くほど合わない靴で足が破壊され、
やっとパンにあり着いても胃が受け付けず、
呑み込むどころか血反吐を吐き出す始末で、
リクリエーション気分の陽気な老人たちに、
簡単にとっ捕まって家畜みたいに縛られて、
空きっ腹抱えたまま飽食の饗宴を見せられ、
やがて動きも表情も喪われていくという……。

しょうじき、見てられない。
しかも、彼らにはなんの咎もない。
この二人は何も悪いことはしていないのだ。
ただ、ユダヤ人に生まれたというだけで、
彼らはこの生き地獄を強制されているのだ。
こんな不条理があっていいのか。
こんな悪を許していいのか。
そこのところは、ちゃんと僕にも生の感情として伝わった。
だが、監督が弄した手練手管の部分は、
あんまりピンとこなかった、ということだ。

●『一口のパン』にしても『夜のダイヤモンド』にしても、東欧の「パン」ってあんまり美味しくなさそうというか、ナイフで切って食べるだけの、単なる生存のための手段というか「レーション」みたいな扱いだな、と。ユダヤ人の話なので、キリストの身体を意味するパンとは関係ないと思うけど。

●片方の(比較的元気なほうの)少年が森で貪り食ってるのって何? なんかの根っこかなにか? よくわからなかったな。

●老人たちがニチャクチャ食事をする気持ち悪い感じって、シュヴァンクマイエルとか、『ひなぎく』のヴェラ・ヒティロヴァとも共通する感覚。元をたどるとこれもブニュエルにたどり着くのかな? 最近だと『サブスタンス』で思い切りやってましたが(笑)。

●この老人たちは予備役か何か? で、山狩りの要請がナチスの軍部から来て、秋田のクマ撃ちの猟友会みたいにご奉公に駆り出されたのか? おじいちゃんたちドイツ語で話してたけど、舞台になっている森自体がもうドイツ領内なんだろうか? そのへん、この映画って説明的な部分がほとんどないから、観終わっても正直よくわからない。

●必ずしも、老人軍団を「悪」として描いていないのが、この映画の本当に怖い所なのかもしれない。暇そうで、楽しそうで、悪気はなさそうで、みんなでわちゃわちゃしていて、でも簡単に少年たちを捕まえちゃうんだよね。

●この映画で最後にどうなったのかは漠然としているけど、原作者自身、ダッハウへと移送中に列車から逃亡を試みて奇跡的に「成功」した人物らしいってのを訊くと、この二人もまた奇跡的に生き延びてくれていればいいな、と切に思う。

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じゃい