悪の塔

劇場公開日:

解説

アレクサンドル・デュマとガイヤルデの原作による劇『ネールの塔』より「バルテルミーの大虐殺」のアベル・ガンスが、フェルナン・リヴェ(この映画の製作者でもある)、フュズリエと共同脚色し、同じくガンスが監督した。撮影は「浮気なカロリーヌ」のアンドレ・トーマ、音楽は「真夜中の愛情」のアンリ・ヴェルダンの担当。主なる出演者は「怪僧ラスプーチン」のピエール・ブラッスール、「O・K・ネロ」のシルヴァーナ・パンパニーニ、「幸福の設計」のジャック・メイラン、「浮気は巴里で」のクロード・シルヴァン、「恋路」のミシェル・エチェヴェリなど。なお監督のガンスは無声映画の末期に「鉄路の白薔薇」トーキーになってからは「楽聖ベートーヴェン」を作った人で、この映画は彼が十数年振りに監督したもの。

1955年製作/フランス・イタリア合作
原題または英題:La Tour De Nesle
配給:NCC=北欧映画
劇場公開日:1955年10月18日

ストーリー

時は十四世紀--ルイ十世の治下のことである。ここ数週間、ネールの塔の下を流れるセーヌ河に毎朝三人づつの若い貴族の死体が浮んで、パリ市民を戦慄させた。そんなある日、久しくパリを遠ざかっていた青年貴族フィリップ(ジャック・トーヤ)が帰ってきた。王妃マルグリト(シルヴァーナ・パンパニーニ)の寵愛を得て肖像を描いている双児の兄ゴーティエ(ポール・ゲール)に会うためである。その夜、「居酒屋でフィリップは美しい給仕女に、今夜高貴な女性がお待ち申し上げておりますと囁かれた。その給仕女は髭の剣豪ビュリダン(ピエール・ブラッスール)にも、同じことを囁いた。そして、フィリップとビュリダンともう一人の貴族は、目かくしをされたままセーヌ河を渡り、じめじめしたところを通りぬけて明るい場所に出た。それぞれ金、銀、茶のマスクをつけた女性が三人をもてなした。好奇心にかられたフィリップが相手の金のマスクを剥ぎとると、その女性は王妃ではないか。翌朝、「セーヌ河には二つの死体しか浮ばなかった。王妃は女魔法使いから、脱走したビュリダンがゴーティエにあてたフィリップの血書を持っていると聞き、計略を用いてビュリダンを捕えたが、彼こそ二十一年前に愛し合った小姓だと知って愕然とした。王妃の父ルイ九世は二人の仲を裂いてマルグリトを修道院に入れたが、小姓は王を殺してマルグリトを救い出した。しかし、恩を知らぬ王妃は小姓を追放し、家臣に二人の間に生れた双児を殺すように命じたのであった。その頃の王妃の手紙を王に渡すと脅迫して、ビュリダンは自由の身となった。だが王妃は二つの秘密を握る彼を生かしておくことは危険だと思い、今もなお愛していると見せかけて、逢曳きを申し入れた。ビュリダンはゴーティエを身代りに送った。だが、フィリップとゴーティエがわが子と知って、ビュリダンはネールの塔に向うが時すでに遅く、王妃はゴーティエの死体をかき抱いて泣き伏していた。

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