勝負師(1958)

劇場公開日:

解説

ドストエフスキー原作の「賭博者」を「禁じられた遊び」の作者フランソワ・ボワイエと「青い女馬」のコンビ、ジャン・オーランシュとピエール・ボストが脚色した諷刺映画。「巌窟王(1962)」のクロード・オータン・ララが監督し、「死んでもいい」のジャック・ナトーが撮影を担当、音楽は「青い女馬」のルネ・クロエレック、製作はイヴ・ラプランシュである。出演者は「危険な関係」のジェラール・フィリップ、「美しき冒険」のリゼロッテ・プルファー、「恋人たちの森」のフランソワーズ・ロゼー、「自殺への契約書」のベルナール・ブリエなど。

1958年製作/102分/フランス・イタリア合作
原題または英題:Le Joueur
配給:イタリフィルム
劇場公開日:1963年2月24日

ストーリー

一八六七年。モスクワからドイツの遊都バーデン・バーデンに来た二十五歳のアレクセイ・イヴァノヴィッチ(ジェラール・フィリップ)は、激しい気性と狂気に近い情熱の持主である。将軍ザゴリヤンスキー伯爵(ベルナール・ブリエ)の待つ豪華なホテルに家庭教師として着いたアレクセイは、意外な事実に唖然とした。破産一歩手前の将軍は、モスクワにいる伯母バーブシュカ(フランソワーズ・ロゼー)の遺産をカタにフランスの将軍デ・グリュウ侯爵(ジャン・ダネ)から借金し、侯爵の方も、最後には将軍を騙して金をまきあげるつもりで将軍の愛人の女山師とつき合っている。そんな彼らを平然と眺めている傲慢な将軍の養女ポリーヌ(リゼロッテ・プルファー)も、侯爵の正体を知りつつ身体を与えていた。ポリーヌにアレクセイは恋心を抱いたが、勿論彼女は受付けなかった。彼は侯爵と女山師の下心を暴こうと決心したが失敗し、モスクワに戻るはめになってしまった。けれど運よく病気のはずの伯母バーブシュカに出会い、彼女に雇われたアレクセイは遺産目当の連中に一泡吹かして復讐しようとした。退屈なホテル生活にあきた伯母が賭博場に行きたいと言い出した。初めこそツキまくっていたが、異様な雰囲気にまきこまれた彼女は全財産をすってしまった。茶番劇は終った。侯爵はポリーヌを捨て、抵当の将軍の財産をとってパリに出発することになった。アレクセイは勝ったのだ。彼が部屋に戻ると、今まで頭を下げたことのないポリーヌが、卑劣な侯爵へ復讐をしたいと相談に来ていた。ポリーヌを部屋に残すと彼は侯爵に叩きつける金を得ようと賭博場へ向った。最後の金貨一枚を賭けたアレクセイは勝ち続け、我に返った時は約束の時間を過ぎていた。大金を持帰ったものの侯爵が去ってしまっては何にもならない。ポリーヌはアレクセイの居ない僅かの隙に自殺した。彼女の遺体を乗せた汽車を見送るアレクセイは、受けた傷の深さをかみしめていた。彼の後姿には強い孤独感が漂っていた。

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