プリースト判事のレビュー・感想・評価
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フォード監督の楽しい法廷劇
1890年のケンタッキーの小さな町を舞台に、未だに南北戦争敗北に遺恨を残す人々の思いを描いたフォード監督の法廷劇。ウィル・ロジャーズと使用人の黒人たちとの音楽が散りばめられて大変楽しい作品になっている。前半のテンポがフォード監督の最良ではないが、物語を締めくくる後半の決着の仕方は、流石にフォード監督らしい演出の巧さを見せつける。南北戦争記念パレード用の太鼓を盗んで裁判所の外から行進曲を演奏し、人々に南部魂を鼓舞するシチュエーションの演出と編集。ロジャーズの判事が私的立場を指摘され裁判長の座を降ろされる逆境と、全てを知る神父の証言が決めるクライマックスの古典的なモンタージュ、悪役の検事を常におちょくる陪審員12番(フランシス・フォード)のユーモラスな味付けなど、フランク・キャプラ映画との共通点も多く、ハリウッド映画戦前の最も良質の映像美学を堪能できる。
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