暴力脱獄のレビュー・感想・評価
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道は閉ざされない
この邦題、皆さんご指摘のように、原題『COOL HAND LUKE』の方がしっくりきます。脱獄の話というよりも、ルークという人物に焦点をあわせたストーリーだと思うから。彼を演じるポール・ニューマン、今作を観て惹かれました。媚びることなく我が道を行く感じが恰好いい。それでいて母の死に切なく謳い上げたり。他の囚人達との交流エピソード(ゆで卵50個とかボクシングシーン)も良かったです。度々出てきた就労奉仕の草刈りシーンは、どこか牧歌的でやさしいイメージすら感じました。
冒頭とラストが同じで、囚人達の変わらない日常。でも、そこにルークはいません。一度は閉じ込められたけれど、籠の中にはいられない野鳥だったから。あの偽写真のクール&ナイスガイは、いつまでも皆の心に焼きつくでしょう。
反体制が喜ばれた時代を反映した作品
総合50点 ( ストーリー:40点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
陽気で豪気で社会に縛られない自由な主人公ルークの刑務所生活と脱獄を描く。ささいなことが原因で刑務所暮らしが始まるものの、刑務官たちは威圧的で、そのような彼らの態度をよしとしないルークが人気を得ていく。ルークは囚人たちの反体制の象徴的存在であり、またこの当時の社会体制に逆らう人々の憧れといったところなのだろうか。
だけどなあ、それって現在からすればただ青臭い。ルークはその場その場で一人で好き勝手をやっているだけ。社会に逆らいたいならば自分が力をつけないと駄目じゃないかとか、違うやり方があるんじゃないかとか、そんなことがまず頭に浮かぶ。刑務所にも多少の問題はあるものの、少なくとも最初に脱獄する前の段階ではどうしようもないひどい状態とは思わないし、脱獄なんかすれば態度が厳しくなるのは当たり前だし、それが嫌なのでとにかく脱獄しましたでは共感できない。家族の死のたびに囚人に脱獄されては社会も維持できない。主人公が強い思いを持って脱獄を繰り返した「パピヨン」とはこの点で比較にならず、この程度の人物が主人公なのかとすら思う。
だからルークの行動がただただ幼く見える。社会に生きるのならば最低限の秩序を守れ、自由に生きることと我儘やり放題を勘違いするなという思いがよぎった。制作年代もベトナム戦争があって学生運動が盛り上がって社会体制に反対さえすれば何でも喜ばれた時代なんだろうし、この時代ならではの主題だろうが、ポール・ニューマンが主演であっても私にはつまらない内容だった。
かっこいいぞ!
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