婦人に御給仕(1927)
解説
「不良老年」「夜会服」等と同じくアドルフ・マンジュウ氏主演映画で、原作はエルネスト・ヴァイダ氏がベンジャミン・グレイザー氏と共同してマンジュウ氏のために書卸し、それをチャンドラー・スプレイグ氏が脚色し、チャップリン氏の「黄金狂時代」を助監督したフランス生れのハリー・ダバディー・ダラー氏が処女作品として監督したもの。マンジュウ氏の相手女優は新進のキャスリン・カーヴァー嬢で、チャールズ・レーン(チャールズ・レヴィソン)氏、ローレンス・グラント氏、アンドレ・シュロン氏等が助演している。
1927年製作/アメリカ
原題または英題:Service for Ladies
ストーリー
パリで一といわれるパリホテルの給仕長アルベエルは歐羅巴中に名を知られた料理の名人で王侯貴顯の知遇と愛願を受けていた。ところがある時彼はニューヨークの富豪フォスターの娘エリザベスを見初め人知れず恋をした。フォスター父娘がスイスアルプスへ遊覧に出掛けるのを知ったアルベエルは自分も同じ列車に乗込んだ。列車中ではボーイ共が皆彼を知っているのでアルベエルは自分の身分がフォスター父娘に知れはしまいかと惧れ、同じ食卓についてもエリザベスに口を利くことが出来なかった。瑞西に着いて見るとホテルには彼の知己であるルカニア国王ボリスが投宿していて、彼に話掛けるのでアルベエルはここでも身分がばれはしまいかとはらはらした。ところがフォスター父娘は却ってアルベエルを身分高い貴族か何かだろうと考えた。その後橇に乗ったことからアルベエルとエリザベスは始めて口を利き合うようになり、2人の恋は加速度的に熱を増し、氷上謝肉祭の晩にはいよいよ最高調に達した。彼女はアルベエルの身分や家柄に就て詳しいことを知りたかったが、アルベエルは自分が給仕であることを打明ける勇気は無かった。そこで彼は到底叶わぬ恋と諦めて翌日書置一つ残してパリへ帰った。フォスター父娘も間もなくパリへ帰り突然パリホテルの食堂に顔を出した。穴に入り度い思いのアルベエルは遂に勇を鼓して自ら一給仕として父娘を食卓に招じた。身分ある男と思い込んでいたエリザベスの驚きは甚しかった。しかし真の恋には身分も職業も問題ではなかった。それ程彼女の恋は真剣だった。そしてボリス王の盡力でアルベエルはホテルの重役となり、エリザベスと結婚することが出来たのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ハリー・ダバディ・ダラー
- 脚本
- エルネスト・バイダ
- ベンジャミン・グレイザー
- 脚色
- チャンドラー・スプレイグ
- 撮影
- ハロルド・ロッソン