劇場公開日 1963年7月5日

「新鮮な発想と説得力=ヒッチコック監督、本領発揮!!」鳥 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0新鮮な発想と説得力=ヒッチコック監督、本領発揮!!

2022年8月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1963年。アルフレッド・ヒッチコック監督作品。

鳥が人間を襲ってくる《パニック・ムービー》
この映画、見事にBGMがありません。
鳥の羽音がバサッ、バサッ!!
鳥の嘴が激しく窓にぶつかる音。
嘴でガガッと噛み切る音。
逃げ惑う人々の恐怖に引きつる顔に効果音(BGM)はありません。
(ヒッチコックは、音声を消して映画を観ることを好んだそうです。
(音がなくても映像だけでストーリーも情景も伝わる・・・そう確信していたそうです)

この映画はまた、登場人物の仕事や背景そして性格は語られるのに、
ドラマとして発展しないのです。
主人公のメラニー((ティッピ・ヘドリン)は、ペットショップで出会った弁護士の
ミッチ((ロッド・テイラー)にわざわざスポーツカーを何時間も飛ばして、
サンフランシスコから、カリフォルニア州ボデガ・ベイまで《幸福の鳥の番い》を、
届けに行きます。
でも2人の恋のゆくえには、焦点は当てられませんし、その恋の結果にも触れません。
鳥・・・集団で人間を襲い、死に至らせるまでの暴力・・・その原因もそして、
その結果・・・
結果にも言及することはありません。

《鳥が集団で襲って来る》
この映像にはCGやコンピューター処理のない時代、とてつもない苦労があり、
色々な合成技術が使われたそうです。

それにしても《鳥が人間を襲う》
そのリアリティに心底驚かされます。
ヒッチコック監督の先見の明にも脱帽です。
(ジェシカ・タンディがミッチの影ある母親役で出演しているのも、とても嬉しかったです)
(ヒッチコック監督は2匹の愛犬を連れてお店から出てくるワン・シーンで、出演しています)

琥珀糖
Gustavさんのコメント
2023年2月5日

琥珀糖さんへ、共感とコメントありがとうございます。
ヒッチコック監督は幼少期から怖がりのトラウマに苛まれても、映画監督になってからはそれを逆手にとり、サスペンス映画の第一人者の巨匠になったのが面白いし、独自の演出技巧を確立したことが素晴らしいと思います。イギリス人の品の良さにシニカルなユーモアが加わり、どの作品も心理学を楽しく学べる内容の深さがありますよね。一度ヒッチコック監督の魅力に嵌ると抜け出せません。

Gustav
みかずきさんのコメント
2022年8月14日

琥珀糖さん
みかずきです

該当レビューがありませんでしたのでこちらのレビューに失礼します。
日日是好日レビューへの共感ありがとうございます。
日本の美しさが心に沁み渡る作品でした。

さて、こちらの鳥ですが、ヒチコック作品の中で好きな作品です。
人間は理性的な生き物なので、理由が分からないものには強い恐怖を感じることを巧みに利用した作品です。
理由不明の恐怖が巧く描かれています。

大好きなスピルバーグ監督の激突も同様に理由不明のままトラックに終わ続けるドライバーの恐怖を描いた傑作です。

理由なき恐怖を描いた作品には傑作が多いです。

では、また共感作で。

-以上-

みかずき