空飛ぶ音楽
解説
「リリオム」と同じくエリッヒ・ポマー作品で、オスカー・ハマーシタイン第二世原作・作詩、ジェローム・カーン作曲になるオペレットに基づいてハワード・アーヴィング・ヤングと「少年探偵団」のビリー・ワイルダーとが協力して脚色し、「帰郷」の監督者でその後プロデューサーとなっていたヨーエ・マイが監督に当たり、「キャラバン」「歓呼の嵐」のアーネスト・パーマーが撮影したもの、出演者は「今宵ひととき」「恋愛即興詩」のグロリア・スワンソン、「ホワイト・パレード」「昨日」のジョン・ポールズを始め、「幻の合唱」「第三階級」のダグラス・モンゴメリー、新人ジューン・ラング、「痴人の愛」のレジナルド・オーウェン、「猫と堤琴」のジョセフ・カウソーン、「ホワイト・パレード」のセーラ・ヘイドン及びアル・シーンという顔触れである。
1934年製作/アメリカ
原題または英題:Music in the Air
ストーリー
ドイツバヴァリア地方の一寒村エーベンドルフに住む若い小学教師カールは、学校の向かいに住んでいる老作曲家レッシングの一人娘ジークリンデと恋仲であった。レッシングは自作の歌「五月のメロディー」を、ミュンヘンの楽譜出版業ウェーバーの許へ、売り込みに行く事となり、ジークリンデを連れて村長さんの馬車を借りて出掛けた。あたかもカールは週末を利用してミュンヘンまでハイキングに赴くこととなったので、ウェーバーの事務所で落ち合うことと約束して出発した。ウェーバーの事務所では、オペラのプリマドンナ、フリーダと相手役で作者のブルーノと相携えて次回興行の相談中だった。フリーダとブルーノは恋仲だったが2人とも癇癪の強い芸術家気質の持ち主であるため、ちょっとした言葉の行き違いから、2人は決裂してしまいフリーダがブルーノ作のオペラなんかには出演しないと言えば、片方も出演して貰わぬという始末だった。そこへ来たのがカールと、それからレッシング父娘だった。そしてフリーダはカールを、ブルーノはジークリンデを愛人にするという妙な羽目となってしまう。フリーダはカールを村へ帰さず、一緒にイタリアのヴェニスに行って暮らそうと提議したが、心からジークリンデを愛しているカールはこの誘惑を斥けて単身エーベンドルフへ帰った。一方ブルーノはフリーダの代わりにジーグリンデを相手役として稽古に着手したが、元来正規の音楽教育を受けていない彼女には無理だった。そしてレッシング組曲の前奏曲も使いものにならないと決まった。父娘は落胆して故郷へ帰った。カールは喜んで彼女と和解する日を待った。ミュンヘンではやはりフリーダとブルーノが主役でオペラ上演となった。初日の晩、歌劇場から中継放送があった。レッシングの「五月のメロディー」は夜空を渡って、エーベンドルフの村の広場の拡声器から響いた。カールとジークリンデは相擁して青春の歓喜を踊った。そしてオペラ終幕と同時にフリーダとブルーノも結婚した。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ヨーエ・マイ
- 脚本
- ハワード・アービング・ヤング
- ビリー・ワイルダー
- 原作
- オスカー・ハマースタイン2世
- 製作
- エリッヒ・ポマー
- 撮影
- アーネスト・パーマー
- 音楽
- ジェローム・カーン