ジュリアス・シーザー(1953)のレビュー・感想・評価
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ベルベットボイス
ギールグッドの若き勇姿を見るのと
〈絹にくるまれた銀のトランペット〉と称賛された声を聴いてみたくて 視聴
さすがでしたが、ブルータス役のメイソンの
〈ベルベットボイス〉の方に魅了されてしまいました
見せ場は 散文で論理的思考に訴えたブルータスと
韻文で感情に訴えるアントニーの演説合戦で、ブランド頑張ってます
(遠い昔、学校で習ったような気が… )
男達のセリフ合戦の映画でした
で、グリア・ガースンもデボラ・カーも刺身のつま以下でしたね
それで結局何故シーザーは暗殺されたのか
総合:30点 ( ストーリー:20点|キャスト:50点|演出:30点|ビジュアル:55点|音楽:65点 )
シェイクスピアの原作だからだろうが、舞台演劇が演出の基になっているようで人物の動きが無くて駄目。いちいち大袈裟な科白を言わないと物語が進行しないし、それは冒頭から市井の民衆までが偉そうな科白を延々と言うのだから、物語と映像を見せるというよりはただただ科白を聞かせるということが作品の中心となってしまっている。これがとにかくつまらない。
そして物語がまたくだらない。なぜシーザーは暗殺されなければならないのか。この極めて重要なことがまず描かれていない。シーザーは水泳で私に負けた・病気の時に情けない態度で水をくれるように頼んだ、そんなやつを指導者にしてはいけない。そんな小学生が虐めをするような馬鹿げた理由で、国家の指導者の暗殺計画に加わることになるという脚本に呆れる。結局シーザーは優れた指導者とはいえ野心に満ちた傲慢な男で暗殺に値するのかどうかが、最後まで描かれることはない。
そしてブルータスは他の者と異なり自分の嫉妬や野心のためではなく、ローマのためみんなのために立ち上がったという結論になっている。いや、そんなことはいつ描かれていたの?そう結論付けたいのならば、せめてそれがわかる彼の実際の行動を見せる場面をちゃんと物語に入れてくれ。ただブルータスは高貴だ高貴だ高貴だと、証拠もないまま無意味に何十回も作品中の科白で繰り返しただけではないか。彼が高貴であることなどまるでわからなかったし、そもそもどんな人物であるかすらわからなくて、シーザーも他の者も含めて人物像の描き方はまるでなっていない。
このくだらない物語と演出にほとほと嫌気がさす。映像は殆ど建物の内外で喋っている人々を映すだけで面白みがなく、後半の戦闘の場面もほんの申し訳程度のもの。
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