「病のために奇形になった青年の生き様」エレファント・マン 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
病のために奇形になった青年の生き様
いつか観たい・・・と思いながら、やっと観ることができました。
エレファント・マン(母親のお腹の中で、暴れ象に踏まれたような異形の青年)
ジョン・メリック(1962年8月5日に生まれ、1890年4月11日に亡くなる)
1980年作品。監督は「ツインピークス」などの、
デヴィッド・リンチ。
奇形に生まれたけれど心の美しいジョン・メリック。
生まれた時に異常はなく、生後21ヶ月頃から、
病気を発症。腫瘍や膨張と変形を繰り返す病でした。
母親は36歳で病死。
以後貧困に喘ぐ一家は救貧院ににゅうしよ。
そこも貧困者が多く、自らの意志で見せ物小屋へ赴く。
22歳のことでした。
こうして「エレファント・マン」は誕生したのです。
サーカス小屋の見せ物になって生きていた時、
外科医のトレヴェス(アンソニー・ホプキンス)に
救われる。
はじめは研究対象とみていたが、ジョンの心の声を聞くと、
心根の優しさに気づき、
ジョンとトレヴェス医師は友情で結ばれて行く。
ジョンは次第に広い世界を知るようになる。
人間には2種類いる。
この世にはサーカスの興行主のように
見せ物にして稼ぐことしか考えない種類の人間と、
ジョンを慈しみ仲間に入れる種類の人間に分かれるのを知る。
ビクトリア女王の口添えもあり、ジョンは病院内に部屋を貰い、
生涯暮らすことを認められる。
しかしある夜、彼を見物に来た一団とサーカス団の経営者に拉致され、
見世物小屋に戻ることになる。
また動物扱いされる日々。
ジョンの身体は徐々に蝕まれて行く。
そしてサーカスの団員に逃してもらったジョンは蒸気船そして
蒸気機関車を乗り継ぎ苦難の旅をする。
ある日、チンピラに絡まれて暴行を受けて、警察に保護される。
そしてホプキンスの病院にやっと戻って来るのだ。
晩年(と言うか、病院に戻ってからは、)心安らかに暮らし
ある日覚悟したようにベッドに入り、
蝋燭が消えるように亡くなる。
モノクロの映画です。
ジョンの奇形の様子をみると成人できて、
27歳まで生きているのが不思議なくらい。
哀れさと、ジョンの美しい無垢な心に打たれました。