劇場公開日 2020年7月10日

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「ほとんどの映画で婦長さんは大体正しい!」エレファント・マン 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ほとんどの映画で婦長さんは大体正しい!

2020年8月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

「エレファント・マン」4K修復版で鑑賞

映画の前半、エレファント・マンの姿は
ほとんど映し出されることなく
暗がりに潜むシーンやカーテン越しのシルエットなど
まるでスリラーの様な緊張感。

この映画初見の人には、
画面に彼が映し出されるシーン自体が
一つのハイライトともなっています。

いわゆる19世紀末の産業革命後のイギリスの
街や大気の汚さ(公害や汚水)が
否応なく伝わってきるモノクロの画面。

労働者の過酷な労働状態や
貧富の格差もさることながら
人権意識が低かった19世紀末の様子と
エレファント・マンの気持ちなど御構い無しに
彼を利用しようとする人の心の醜さ
偽善的行為の連続に
いわゆる残酷シーンとは違う意味の
観ていて辛くなるシーンも多く
公開当時、10代だった私は映像的にも内容的にも
大きな衝撃でトラウマ映画でもありました、が

それでも、当時、観て良かった!!

なので今回も、
39年前の自分に会いに行く様な気持ちで
鑑賞しました。

で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては

今回特に心を惹かれたのは

エレファント・マンを見世物小屋から救い出した
アンソニー・ホプキンス演じるトリーヴス医師の心の動き。
初めてエレファント・マンを観た時の表情!
ワンカットでの見事な演技!

トリーヴス医師には最初、
医師としての人体への探究心や
功名心もあったかもしれない。
でも、この時の表情があったからこそ、
観ている方もトリーヴスの心を信じることができた。

なのに中盤、あることを看護婦長から忠告された時の
トリーヴスの少々そっけない対応に
人の心の危うさや移ろいやすさを感じた。

やがてトリーヴスが自身の行動を冷静に考えだす。
エレファント・マン
つまりジョン・メリックにとって
自分は善き人、良き友だろうか?

人の心は危うい。

最初から悪意を持って振る舞う人間はともかく
悪意はなくとも、その人の立場や事情によって
態度が変わってしまうことはまま、あるし
善意だと自分では信じていても
角度を変えれば偽善や売名行為に変質していることも〜

ジョンがトリーヴスに何度も「友よ」と呼びかける。

おそらく誰よりも人の心に敏感なジョンは、
トリーヴスが自分にとって「良き友」でいてくれる
今だから、ある行動をとったのでは?

本当に深い映画です。

チャンスがあれば
是非、劇場で集中して観てください。

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いつも「共感!」やフォローをありがとうございます。
人の感想を読んでしまうとすぐ影響されてしまうので
皆さんの評論は遅れて少しづつ拝見してます。
どうぞよろしくお願いします。

星のナターシャ