ゴールデン・ボーイ(1938)

解説

「歌へ陽気に」「虚栄の市(1935)」のルーベン・マムーリアンが監督したもので、クリフォード・オデッツ作同名の戯曲の映画化である。脚本は「ステラ・ダラス(1937)」「愛と光」のサラ・Y・メイソン、ヴィクター・ヒアマン組が更にルイス・メルツァー及びダニエル・タラダッシュと協力して書いている。主演者は「ステラ・ダラス(1937)」「膝にバンジョウ」のバーバラ・スタンウィック、「オーケストラの少女」「ステージ・ドア」のアドルフ・マンジュウ及び新人ウィリアム・ホールデンで、「悪漢の町」のジョセフ・カレイア、「夕陽特急」のサム・レヴィーン、新顔のリー・J・コッブ、ベアトリス・ブリン、「暗黒王マルコ」のエドワード・ブロフィー等が助演している。キャメラは「大地」「忘れがたみ」のフロイントの担任。

1938年製作/アメリカ
原題または英題:Golden Boy

ストーリー

ジョウ・ボナパルトの父は、イタリアからアメリカへ渡った移民である。彼はイタリア特有の音楽愛好者で、ジョウが幼い頃から音楽の天ぴんに恵まれていたので、父は無けなしの金をはたいてヴァイオリンの師匠につかせた。その甲斐があって、ジョウは全市のコンクールで金メダルを得た。父親は苦労が報いられたのを心から喜んだ。彼にとってジョウのヴァイオリンは、生涯をかけた夢であり希望であった。ジョウの11歳の誕生日の前夜のことである。ボクシングのマネージャーをしているトム・ムーディーは、選手が腕を折って明日の試合に出られなくなったので困っていた。すると居合わせた1人の青年が、自信ありげに代りをさせてくれと申込んだので、トムはこの青年を使ってみることにした。それは2年前から秘かにボクシングを習っていたジョウだった。ヴァイオリンは隙だ、父の夢も破りたくはない。しかし音楽では貧しい父に楽をさせてやることもできない。これがジョウをボクシングに向かせたのだった。誕生日の夜、父は苦労してためた金でジョウに贈るヴァイオリンを買った。試合に買ったジョウは、家へ帰ると父親にボクシング家にさせてくれと頼んだ。これまでの苦労は水の泡になったが、いつかは悪夢から覚めてくれる時があろうと、父は贈物のヴァイオリンも隠してしまった。後でそれを見つけたジョウは、一時はボクシング家を断念しようとさえ思ったが、トムの愛人ローナに口説かれてやはりリングに立つことにした。ローナはトムと愛し合っていたが彼には妻がある。離婚するには5000ドルの金がいるので、それを得るにはジョウを手離したくない、そこでローナがジョウを引留める役を受持った。かくてジョウのボクシング生活が始まった。旅に出る、ファンが集る。物質的にも恵まれて来た。手が硬くなり傷んで来たが、まだヴァイオリンを弾くことができる。それに側にはローナがいる。彼も今では彼女を愛していた。ローナもいつか彼に心をひかれるようになった。そしてそして彼が音楽の才能を持っているのを知り、本当にボクシング家になりきれる男ではないと思った。彼女がトムを捨てて彼と結婚しようとさえ思った時、ジョウは2人の仲を嫉妬して、フゼーリというマネージャーと契約したのでローナとの仲も切れてしまった。ジョウはその後リングで黒人選手を倒したところ、それがもとで相手は命を失ったので、暗い気持になってこの職業から足を洗って外で出ると、ローナが待っていた。心のとけ合った2人はジョウの父親を訪れた。父は涙を流して息子を迎えた。ジョウの手が元通りになったら、待望の提琴家として世に立つこともできるであろう。

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