仔鹿物語(1946)のレビュー・感想・評価
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優れた開拓時代版少年ビルディングスロマン
作品名から、単なる少年と子鹿の
ほのぼのとした交流映画かと想像しながも、
キネマ旬報第9位との情報から
一度は観ておいてもいいかなと
軽い気持ちで鑑賞したので、
まずは内容の意外性に驚きが先行した。
そもそもが開拓民の話で、
開墾地が樹海の中の島であるとの
当時の開拓民の困難さを示す
優れたファーストシーンから始まった。
前半は、普段はいがみ合っても、
肝心な時は助け合うという、
人間社会の原点に根ざした人間賛歌に
溢れる展開。
そして後半は、
動物は自然界と共に生きる、それに対し
人間はその自然と対峙する生き物
である以上、
それに立ち向かう上での
厳しさと孤独との闘いが必要ながらも、
助け合えるのは人間同士しかないという
人生訓を示してくれた。
ある意味、今では
話としてありふれた内容ではあるが、
この手の物語の原点なのかも知れない。
この映画は、親子3人の丁寧な心象描写を
天候・動物・植物などの自然要素とも
上手く絡み合わせて描いた、優れた
開拓時代版少年ビルディングスロマン
と言えるだろう。
過去があって現在がある
フロリダで農業をしている一家三人の物語。
主人公は11歳の男の子で、父の仕事を手伝っているが、自分のペットが欲しくてたまらない。
父(グレゴリー・ペック)は優しいが、母は口うるさい。
ある時、必要に迫られて鹿を殺すが、子鹿がいたことがわかり、主人公は飼うことを許される。
昔、学校から見に行き、意外と面白かった記憶がある。
クラレンス・ブラウンの見事な色彩映画
アメリカ開拓史のほんのひと片隅を背景に、少年の越えなければならない成長を見事な色彩で描いた児童文学作品。若きグレゴリー・ペックの父役の二枚目振り、ジェーン・ワイマン演ずる厳しい母親像、クロード・ジャーマン・ジュニアの名子役。ラスト、眠りに付く少年が夢想する子鹿の想い出のシーンの、少年の気持ちを知った映画的な表現に感動する。
子鹿の物語だと思って見たら愕然としてしまうかもしれない
今では動物愛護団体が抗議してしまいそうな内容。まず圧巻なのが熊対犬の死闘!どうやって訓練したんだと驚いてしまう。特に犬があれほどまで果敢に熊に襲いかかるなんて・・・
ペックのお父さんが息子ジョディとともに森へ出かけ、ガラガラ蛇に噛まれてしまう。咄嗟に鹿を撃ち、その肝臓を息子に持ってこさせ応急手当。ここでもう大自然の中で暮らす逞しさは備わっていたのですが、さすがにジョディは殺された母親の元から離れられない子鹿が気がかりになって、結局は飼うことになる。穀物、家畜なら大歓迎なのだが、開拓者にとってはペットなど飼う余地はない。息子の成長を優しく見守る父親と、何かとしかめっ面をする母親の対比も面白い。
オリバーおじさんや大切な友達がいなくなるというエピソードもちらり。とにかく大切なのは大自然の中で生き抜くこと。鹿のフラッグが成長して畑を荒らすようになったら殺さなくてはならないという現実の厳しさ。生半可な可愛い動物の物語などでは決してないのです。
128分もあるというのに、細かなエピソードを盛り込み過ぎなのが欠点。場面の展開が早過ぎるため、連続ドラマの総集編といったイメージは拭い去ることができなかった。それでも画面の美しさと子役の演技力にはまいりました。
決して子供向けの動物映画ではありません 大人が観るべき映画です
沢山泣きました、最後は号泣しました
心洗われるとはこの事です
父とは、母とは、家族とは何か
子を持ち持ち育てる苦労を知っていればいるほどにジョディの成長に心が震えるのでしょう
仔鹿は後半になって登場し、本当の主役といえるジョディ少年の成長に大きな影響を与えます
しかし仔鹿とはその鹿の事ではなく、もちろんジョディ少年の事を指しています
彼を演じる子役の金髪の少年のかわいらしさだけでなく
その健気さ、成長の様々の感情を表現する力は観たことのない名演技です
いつまでも子供と思っていた男の子がいつしか大人に成長するその過程を見事に演じてみせています
とても若いグレゴリーペックのお父さんぶりも素晴らしく、彼にしか演じることのできない理想の父親像を観せてくれます
母役のジェーン・ワイマンもまた素晴らしい名演を観せてくれます
ラストシーンの涙腺の破壊力を倍増しました
流石はベテランのクラレンス・ブラウン監督で素晴らしい演出で全く飽きずに緩むことなくラストシーンまで引っ張ってくれます
決して子供向けの動物映画ではありません
大人が観るべき映画であります
所帯をもってこれから子供を産み育てようという新婚さんも、子供が大きく育ち巣だっていった夫婦にも是非観て頂きたい映画です
名作です
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