「どこか秘密めいた父親に関する追想」エル・スール P.Pさんの映画レビュー(感想・評価)
どこか秘密めいた父親に関する追想
とても魅力的で穏やかだが、何処か謎めいた父親についての少女の回想という形式で映画は進んでいく。牧歌的で優しく、少し不思議な美しい日常の中に、明確には出てこないのだが、スペイン内戦のゴタゴタから逃げてきた夫婦であることを匂わせて、仄かに不穏な気配が漂う。少女は少しづつ、父親が本当はここではないどこかに心を向けてしまっていることに気付き始め、何気ないが決定的な場面の後、冒頭の少女の涙の意味がわかるようになっている。ミツバチのささやきもそうだが、穏やかさと不穏さが素晴らしいバランスで両立していてとても印象的な映画だった。あと父親役のオメロ・アントヌッティがすごくチャーミングだった。
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