L.A.大捜査線 狼たちの街のレビュー・感想・評価
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すっきりとしないのがいい
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
犯罪活劇にありがちなわざとらしい派手さを排して記録映像調に犯罪者と刑事を描く。「フレンチ・コネクション」のウィリアム・フリードキン監督作品で、犯罪現場の描き方は独特で上手い。いったい誰にどうして運び屋は撃たれたのか、どうしてあれほどの素早い組織的な追跡の対応が出来たのかわからないけれど、鉄道と高速道路での車での逃亡の場面はかなり迫力がある。
物語は自分の立場をとにかく優先するそれぞれの人々の思惑ばかりが絡み合って激しく衝突し、刹那的な生をくぐって破滅へと突き進んでいく。そこには事件解決後の爽快感もないし登場人物の幸せもない。荒んだ雰囲気の中で、自分のために何でもするという人々の性(さが)が浮き彫りにされるだけ。結末を幸せな締めくくりにすることも物事が片付いてすっきりすることもまるで考えていないようで、悲劇的浄化とすらならなくて、見終わって荒涼とした気分が残される。でもそれがこの作品の特徴となっていて悪くない。
他の人の感想を読んでなるほどと思ったが、物語の結末といい雰囲気といい刹那的な生き方といい暴力といい、これは確かに「その男、凶暴につき」によく似ている。登場人物も悪人ばかり。これは北野映画の原点なのかもしれない。
すごかった
主人公のジョン・タトゥーロは印象の薄い人物だし、登場人物がやたらと多くて、女もごちゃごちゃしてた。ウィレム・デフォーの偽札作りを追うのだが、あまり緊張感のないままダラダラしていた。
ところが空気が一変するのが、中国人の密売人から金を奪って追いかけられるカーチェイスがすごい迫力でびっくりした。その中国人が実はFBIで仲間を襲っていて、結果的に死なせてしまった事が判明し非常に焦る。その後、逃げられた承認を見つけて偽札工場を白状させていて、だったら回りくどく余計な強盗などする必要なかったではないかと思った。
そして、主人公が射殺されて、ウィレム・デフォーに逃げられてしまう。まだ話の途中だったのでとてもびっくりした。
単なる仕事の域を超えて、生き様のようになってまで犯人を追う様子が狂気の域に達していて面白かった。あんなに頑張っても他の同僚と給料が一緒か、もしくはやり過ぎで減給されていることだろう。
美術やファッション、音楽など目につくもの、耳にするもの全てがとてもダサい。そんな80年代の空気が全開だった。
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