「レジェンド・オブ・特撮映画」キング・コング(1933) しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
レジェンド・オブ・特撮映画
"キング・コング" シリーズ第1作。
DVDで鑑賞(字幕)。
本作がつくられていなかったら、ゴジラ・シリーズや他の特撮怪獣映画が製作されることは無かったでしょう。
否、ウルトラマンや仮面ライダーなど、全ての「特撮」と名のつく作品の原点にして問答無用のレジェンドです。
ストップ・モーションで表現されたコングは、当時の観客にとって本物の生き物の如く映ったのではないでしょうか。
今観ると動きがぎこちなく感じますが、なんせクォリティーがハンパない。どれだけの時間と労力が掛かったことか。
なので、多少の粗さは気にしない気にしない。それもひっくるめて、本作の味わい深さとなっているのかもしれません。
円谷英二特技監督が若かりし頃に、海外から本作のフィルムを取り寄せてひとコマひとコマ研究したと云う逸話も有名。
ウィリス・H・オブライエンのDNAが円谷英二に受け継がれた瞬間のように思えて、感慨深いエピソードだな、と…
「美女と野獣」を連想させる物語も魅力のひとつ。アンを巡る、ドリスコルとコングの男同士の対決な側面もあるかと。三角関係として捉えると別の面白さが見えて来ました。
それにしても、アンが不憫極まりない。命がいくつあっても足りません。そのくせ、コングを怖がりながらもいざという時には助けを求めるから、意外としたたかな女かも。
悲壮感漂うラスト・シーンが印象的でした。南海の孤島から大都会に連れて来られ、不安と恐怖から暴れ出したがために抹殺されてしまう悲劇。人類の身勝手さを痛感しました。
ただの怪獣映画で終わらないテーマ性を感じました。現在の特撮映画にも内包される主題であり、最初に放った本作はまさにパイオニア。永遠に語り継がれて欲しい名作です。
[余談]
コングの実物大模型の目つき、変態みたい(笑)。
※修正(2023/06/08)