河(1928)
解説
「第七天国(1927)」「街の天使」に次フランク・ボーゼージ氏の監督作品で、トリストラム・タッパー氏の小説を映画化したものである。小説を映画的に改作したのは「四人の息子(1928)」「ファジル」のフィリップ・クライン氏であるが脚色には「輝く天国」と同じくドワイト・カミンス氏が当った。主役を演ずるのは「第七天国(1927)」「街の天使」のチャールズ・ファーレル氏と「四人の悪魔」「水陸狂走楽」のメアリー・ダンカン嬢との2人。なおアイヴァン・リノウ氏、アルフレッド・サバト氏、マーガレット・マン夫人、等も出演している。キャメラは「第七天国(1927)」「街の天使」「四人の悪魔」と同じくアーネスト・パーマー氏が担任。
1928年製作/アメリカ
原題または英題:The River
ストーリー
アレン・ジョン・ペンダーは山の奥深くに住んでいる若者であった。彼はその山奥の泉から流れをたどって海へ出たいとかねがね憧れていた。そして苦心の末、自分ではしけを作りそれによって海へ出ようとした。が、河の途中まで来るとダムの工事があったので彼はそこで、はしけを止めた。が、この工事は彼が着くとすぐに中止になり工夫たちは皆その地を引き上げて行ってしまったので、その地に止るものというのはアレン・ジョンを除いては、ロザリーという美しい女とろうあのサムとその老母とこの3人きりであった。ロザリーは世界各国を流れ歩いて来た素性のさだかならぬ女で、今はマースドゥンという男の情婦となっていたがマースドゥンが殺人を犯して警察へ上げられたので、その帰りを持ってここに止つているのであった。素朴なアレン。ジョンはこうした見馴れぬ女を見て我にもなく胸をときめかせ、言い知れぬ魅力を感じた。そうしている中に彼は女にひっぱられグズグズして到頭都へ出る最終の列車へも乗りそこなってしまった。やがて年もくれて冬がやってきた。雪が真白に山を包み、河を凍らせた。その時にはアレン・ジョンはロザリーを恋するようになっていた。女も男も真心と生一本とにひかされていた。が、この2人の語らいを常に脅かすのはマースドゥンが残していった鴉の不気味な鳴声であった。アレン・ジョンはそこにロザリーに纏いつくマースドゥンの暗い影を見た。女の身と心とがそれに縛られているのを感じた彼は吹雪の中に出て狂人のようになって手あたり次第に樹を手斧を振って切り倒した。樹を切り倒す毎に彼はマースドゥンの暗影をぶち破るのであった。が、人力には限りがあった。疲れて倒れた彼が凍え死なんとしたのをサムが翌朝になって発見しロザリーの小屋にかつぎ込んで2人して介抱しようやくにして彼を蘇生せしめた。このアレン・ジョンの命をかけた真実に動かされりロザリーはいよいよ決心して彼と共に新しい生活に入ろうと考え、この地を立退く準備にとりかかった。が、その時不意にマースドゥウが破獄してやって来、2人を脅かした。折よくそこへサムが来合わせ、曽てマースドゥンに怨みを抱いていた彼はマースドゥンを殺して日頃の仇をとった。アレン・ジョンの愛はロザリーの汚れを河の如くに洗い清めた。二人はアレン・ジョンのはしけに乗って海へと新しい生活を求めに出かけたのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- フランク・ボーゼージ
- 脚本
- フィリップ・クライン
- 脚色
- ドワイト・カミングス
- 原作
- トリストラム・タッパー
- 撮影
- アーネスト・パーマー
- セット
- ハリー・オリバー