お蝶夫人

解説

プッチーニの歌劇によって名高いお蝶夫人の映画化で、「悪魔と深海」「二十四時間」のマリオン・ガーリングが監督した。「海峡」のジョセフィン・ラヴェットと「地獄の天使(1930)」のジョセフ・モンキュア・マーチが共同してジョン・ルーサー・ロングの小説とデイヴィッド・ベラスコ演出の舞台劇を基として脚色に当たり、舞踏家伊藤道郎が演出顧問を勤めた。カメラは「お化け大統領」「我等は楽しく地獄へ行く」のデイヴィッド・エーベルが担当した。音楽はジアコモ・プッチーニの歌劇より抜粋し更にW・フランク・ハーリングが追加音楽を作った。主役には「我等は楽しく地獄へ行く」「鉄窓と花束」のシルヴィア・シドニーが扮し、「ブロンド・ヴィナス」のケーリー・グラント、「百万円貰ったら」のチャリー・ラッグルス、「明暗二人女」のアーヴィング・ピチェル、「六月十三日の夜」のヘレン・ジェローム・エディー、サンドア・カレイ、ジュディス・ヴォセーリ、エドモンド・ブリーズ等が助演している。

1932年製作/アメリカ
原題または英題:Madame Butterfly

ストーリー

仏様の御前で、祖父は孫娘の行く可き道を示し給えと、母なる人は娘の身の上に守護を垂れ給えと祈り、そして、蝶々さんは、我が家の光栄のためにこの身を役だたせ給えと祈った。それ程に、蝶々さんの家は傾いた。その家運を挽回すべく、彼女は五郎の家の営む芸者屋に身売りした。ある日日本の港に上陸した、若きアメリカの海軍士官ピンカートンは、友達のバートンと共に、五郎の芸者屋で美しい舞妓を挙げて旅のうさを晴らしたが、丁度隣室に居合わした蝶々さんの可憐な姿に魅せられて、我を忘れて、彼は隣室にとび込んだ。見知らぬ異国の人を見て、蝶々さんは驚いてその場を逃れたが、庭まで追って来たピンカートンと顔を合わせた時、何故か、おどろきの中にもはげしい心の悸きを感じたのである。このことあって以来、ピンカートンは可憐な日本娘蝶々さんを深く恋する様になり、二人は終に日本の儀式によって結婚して了った。彼らは夢のような幸福に浸り乍ら、蝶々夫人は若い男らしいアメリカ青年に身も心も捧げつくし、ピンカートンも亦彼女を限りなく愛した。唯一つ、蝶々さんの小さな胸を痛めしめたのは、美しいアメリカ娘の写真のことだったが、それはただのお友達だというピンカートンの言葉に彼女はやっと胸をなでおろした。その中に、ピンカートンの帰国が明日に迫ったが、彼は別れのことをいうに忍びず、ひそかに、蝶々さんをホテルに伴って最後の晩餐をした。その時、彼女は居合わした同僚からピンカートンの帰国のことを聞いて、寝耳に水とばかりに愕き悲しんだ。可憐な妻蝶々の嘆きを見ると、ピンカートンは、再びこの国を訪れることはあるまいと知り乍ら、それでも、駒鳥が巣につく頃には必ず戻って来ることを約束したのだ。そして、アメリカに帰ってピンカートンは、あの写真の娘と結婚した。別れてから、三年の月日が流れた。その間毎日毎日、蝶々さんは、ピンカートンを待っていた。産まれた男の子に「不幸」という名をつけたが、この子の父が戻って来たら「幸福」と名を変えよう、それを楽しみに、ピンカートンとの約束を彼女は信じて疑わなかった。そのある日のことピンカートンの乗ったアメリカの艦隊入港の報らせが蝶々さんを訪れた。彼女は胸を躍らせ、晴れ着にまで着替え、我が子を抱いて、ピンカートンの訪れを待ち明かした。しかし彼のそばには、あの写真の娘がピンカートン夫人となって附いている。蝶々さんの悲嘆は大きかった。今はこれまでと、彼女は一子「不幸」を「武士」に育て上げるべく、彼女の祖父の許に送り、父が名誉のために果てた刀で自害した。

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