生き残るヤツ

劇場公開日:

解説

ニューヨークの真中にカメラを据え、街の活気、生活の騒音などを取り入れ、麻薬中毒、アル中、浮浪者など世の中からはみ出した人間たちの悲哀を描く。製作総四季はジェリー・トコフスキー、製作はフィリップ・ラングナー、監督はチャコスロバキア出身のアイヴァン・バサー、脚本はデイヴィッド・スコット・ミルトン、撮影はジャック・プリーストリー、音楽はウィリアム・S・フィッシャー、編集はラルフ・ローゼンバームが各々担当。出演はジョージ・シーガル、ポーラ・プレンティス、カレン・ブラック、ジェイ・フレッチャー、ヘクター・エリゾンド、マーシア・ジャン・クルツ、アーヴィング・セルブスト、エド・マドセンなど。

1971年製作/アメリカ
原題または英題:Born to Win
配給:ユナイト
劇場公開日:1973年2月10日

ストーリー

合理主義一点バリのドライな大都市ニューヨークに、何とも不合理な世界が存在する。J(ジョージ・シーガル)はニューヨークに舞い戻ってきた。麻薬常習犯としてパクられ、刑務所にぶち込まれていたのだ。しかし、戻ってみれば女房は親分の持ち物になっていて、たちまち麻薬とよりを戻し、資金稼ぎに取り組むのだが努力のわりには成果が上がらない。ある夜、駐車場で知り合った女パールマリー(カレン・ブラック)のアパートに泊まり、麻薬が切れたJは、ギーク(ヘクター・エリゾンド)の助けをかりざるを得なくなった。ギークは、ヤクが欲しければヤクの配達人になれという。しかし貿易商スタンリー(アーヴィング・セルブスト)と共にスタンリーのアパートまでヤクを運んだが、ギークは金はおろかヤクもくれない。怒ったJは親友のビリー(ジェイ・フレッチャー)と共にスタンリーの家に乗り込んでヤクを取り戻そうとしたが、張り込んでいた刑事に捕まった。麻薬課の刑事(エド・マドセン)はJをしめ上げ、ギークを逮捕する手助けをしろと脅かす。Jは仕方なくギークにあいに行くが、スタンリーに捕まってしまう。そのとき不意に警察にふみ込まれたスタンリーの許から逃げだしたJはパールマリーのアパートに転げ込む。今はここしかJの安息の場はないのだ。彼女はJを連れて冬の河辺にでかけた。荒涼とした風景は孤独なこの2人にふさわしい背景かも知れない。彼女は2人で旅に出ようと語りかけるが、Jは禁断症状に震えながら、ギークから金を取らずにはおかないと喋り続けるのだった。Jとビリーはデイビーの家にヤクを買いにいった。だが彼は、有金全部おいていけという。逆上した2人は有金をさらってしまう。やがて刑事はヤクの仲買人に化けてギークを罠にかけるから彼をおびきだせとJに命じた。有利な商談にもかかわらず用心深いギークは話しに乗ってこない。罠は失敗に終わった。立場の悪くなったのはJだけだ。ビリーとJは売人からヤクを手に入れて大喜び、近くのビルの化粧室でビリーが先に注射した。突然彼は苦しみだしたちまちこと切れてしまった。Jは髪が逆立つ程の恐怖をおぼえた。ギークが自分を殺そうとしているのだ。Jは刑事に助けを求めた。が、警察にとってもJは道具に過ぎない。刑事はそれでも街をぶらつき、ギークを釣りだせという。しかもJが逃げださないように汚い手を使った。パールマリーの車からヤクが発見されたといって彼女を逮捕してしまった。人質である。こうしてJは救いようのない泥沼にはまり込んでゆく。しかもいつ果てるとも知れない危険を背負って--。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5"Winner"

2023年1月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

デ・ニーロがまさかの刑事役、ジャンキーにしか見えない容姿にセルピコ刑事のようでアル・パチーノとは違った『セルピコ』を勝手ながらに想像、スコセッシの『ミーン・ストリート』で演じたジョニー・ボーイの片鱗が見え隠れ!?

アメリカン・ニューシネマの類で破滅的に進む物語と主人公かと思いきや、基本的には陽気なキャラで全てが解決に至らない終わり方でもハッピーエンドに思えてしまう不思議な感覚、起きるトラブルをコミカルに解決するように狡賢さと何処か憎めない愛嬌が、コインランドリーでグルグルの刑が地味ながらに笑える。

デ・ニーロよりもチョイ役で『ロッキー』のバート・ヤングが無言の存在感。

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万年 東一

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