赤い矢

劇場公開日:

解説

アクション映画を得意とするサミュエル・フラー(「東京暗黒街・竹の家」監督)が創設した独立プロ、グローブ・エンタープライジズ・プロの第1作としてフラー自ら製作・監督・原作・脚色を担当した異色西部劇。撮影監督は「攻撃」のジョセフ・バイロック、「八十日間世界一周」の故ヴィクター・ヤングの曲をオードレイ・グランヴィルが編曲した。主演は「地獄の翼」のロッド・スタイガー、「ヴェラクルス」のサリタ・モンティール、「ミスタア・ロバーツ」のブライアン・キース、「裸の拍車」のラルフ・ミーカー。

1957年製作/86分/アメリカ
原題または英題:Run of the Arrow
配給:RKOラジオ
劇場公開日:1957年9月23日

ストーリー

1865年4月9日、ヴァージニア州アッポマトックスにおいて南北戦争最後の一弾が発射された。南軍の狙撃兵オミーラ(ロッド・スタイガー)の放ったその一弾は北軍のドリスコル中尉(ラルフ・ミーカー)の胸に命中した。が、近寄ってみるとドリスコルは死んではいず、オミーラは重傷の彼を野戦病院に運んだ。戦争は終わりオミーラは、軍医がドリスコルの胸から抜き出した鉛弾を記念に持って故郷へ帰った。友人たちは鉛弾を新しい薬莢につけ「南北戦争に於いて最後に発射された弾丸」と刻んでくれた。しかし北軍を極度に憎むオミーラはやがて故郷を出奔、米国に未だ恭順を誓わぬスウ・インディアン族に投じようと西部へ向かった。途中カヨテというスウ族の老人と知合い、2人でスウ族地帯へ入ったが間もなく"気違い狼"を首領とするスウ族の不良団に捕まり"矢走りの刑"に処せられることになった。矢の射程距離に裸足の処刑者が追う者と同時に走り出し追いつかれたら殺されるというこの極刑は千に一つの生きる機会もなかった。カヨテは死に、オミーラも卒倒したが彼は運よくインディアン娘モカシン(サリタ・モンティール)に助けられた。無事逃げのびた彼は酋長バッファローからスウ族の手では殺害されぬとの保証を得、さらにモカシンの情に感激、彼女と結婚した。そのうち平和を望むスウの大酋長と米軍の間に協定が成立、スウ族勢力圏内に砦が設けられることになり、オミーラが監視員として派遣された。一方、米軍から砦建設にクラーク大尉の一隊が来た。クラーク大尉は平和愛好の人格者だったが、その副官は何と立身の野望を抱くドリスコル中尉だった。彼はオーミラを見つけ憎悪に駆られた。砦の工事中、"気違い狼"はまたしても米軍に攻撃をしかけクラーク大尉を殺した。怒ったオミーラは、"気違い狼"捕まえ、それでも生きる機会を与えようと"矢走りの刑"に処したが、ドリスコルは走る"気違い狼"を射殺した。憤慨したオミーラは重傷の"気違い狼"を助けた。建設隊指揮官クラーク大尉の後任にドリスコルがなったが、彼は協定を無視して砦を協定地域外の戦略要地に建設し始めた。これを知った大酋長は部族に動員を命令する一方、オミーラを抗議軍使として派遣した。ところがドリスコルは白旗を掲げて砦を訪れたオミーラを捕まえ裏切者として絞首刑にしようとした。が、その時スウ族の一隊が砦に殺到、逆にドリスコルを捕まえ、生きたまま皮を剥ぐ極刑に処せられた。断末魔の叫びをあげるドリスコル。見兼ねたオミーラは遂に記念の最後の一弾をドリスコルの眉間に射ち込み安楽死させた。この情景にモカシンは、オミーラの心に生きる同胞愛を知り、アメリカこそ彼の祖国だと焼け残った軍旗をその胸に抱かせた。クラウド酋長の許しを受けてオミーラは、生き残った将兵をララミーの砦に護送して行くことにしたが、今や彼の胸にはかつてクラーク大尉がしみじみと語った「リー将軍の幸福は南部の最後ではない。新しいアメリカ合衆国の誕生なのだ」という言葉がよみがえってきた。

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