「軍人が護るべき、国の中で」永遠の0 五社協定さんの映画レビュー(感想・評価)
軍人が護るべき、国の中で
最近の「8.15」作品に、“ありがち”な現代から捉えた「戦争の時代」の話。
ただ「現代」が「平成16年」なのは夏八木勲さん演じる元特攻兵の言葉
「10年経てば、“その”世代が皆、鬼籍に入る」
から、逆算しての設定だろう。
確かに10年経った平成26年、もう戦争の話を出来る世代はだいぶ来世の方になり、しかも、幼少期に焼夷弾絨毯爆撃や機銃掃射の思い出をうっすら覚えてるような世代も亡くなってるんだもん。
前置きをしておくと、アメ公側から描いた「プライベートライアン」とか、「パールハーバー」に感動とか、共感覚える人間には、日本人が描く戦争映画にどーこー言う筋合いは無い!
平幹二郎、橋爪功、山本學、田中泯、夏八木勲の元航空・特攻隊員の証言から、ある一人の航空兵の人物像を掘り下げていく物語。
・真珠湾攻撃
・ミッドウェー海戦
・ソロモン航空隊
・マリアナ沖海戦
・内地空襲の反攻
・鹿屋特攻基地
“空兵”を描いた“戦争作品”としては、原作は百点満点であると言えるが、星が1つ足りないのは山崎貴作品特有の
・CG偏重による、物語の奥行き感の薄さ
・クライマックスがやたら長い
点に置いて減点。
東宝戦争映画がと言うと、どうしても、
「特撮」があり、その特撮を凌駕する「深い人間ドラマ」を期待してしまうのに、
「零戦燃ゆ」(1984)以降、殆んど戦争映画を創らなかったのと、
田中友幸プロデューサーの存在が無い今、過去の「東宝戦争映画」の栄光を求める事自体、無理な話か。
歴戦のエースパイロットたちと零式艦上戦闘機が捧げた「国に対する魂の籠った命」に付いて、1から説明をしないといけない時代だから、“証言”と言う形で丁寧に説明し、如何に主人公「宮部久藏」が異質な存在でありながら、空兵として大事な「心持ち」を大事にしているかよく判るように創られていて、先の戦争を真正面から捉える事に窮しない。
教官として、直援戦闘機として多くの学徒兵や少年兵で構成された特攻機が目的遥か手前でむざむざと果てる姿に打ちひしがれた久藏がいよいよ突撃を志願し、飛び立つ時の清々しい顔は、
「生き抜く事を是」とした人間が「必死」させた者たちの元へ旅立つ
本当に気持ちの晴れた瞬間なのだろう。
「生きる事を是とした人間にも死を是とさせる」
切々と感じる。
戦後の話がやたら長かったが、
宮部久藏主体の戦争作品としては戦後68年経っても魂の籠った作品だと感じる。
最期に、「濱田岳」、この役者は今後、名バイプレイヤーになりそうな気がする(昨年公開の「はじまりのみち」含めての直感)
取り合えず、若人よ、
異国の映画ばかり観てる暇あるなら「戦陣に往く先人」の作品を観よ!