劇場公開日 2013年12月21日

「原作を読みたくなった」永遠の0 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5原作を読みたくなった

2013年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

天才的な操縦技術を持ちながら、敵機を落とすことよりも生還に執着した男が、なぜ最後に特攻の道を選んだのか、ミステリアスな部分を抱えながら物語が進む。それは戦争の悲惨さそのものより、戦時中の個人の意志が尊重されない理不尽さを訴えた内容だ。
個人を描いたものであり、開戦から終戦まで日本が辿った道のりはかなり端折られる。久蔵という人物を語る話の芯には影響ないが、太平洋戦争の知識がない人が観たら大戦の流れが断片的で、日本が“特攻”に走った経緯が理解できないのではないだろうか。もしかしたら若い世代は“特攻”そのものを知らない可能性もある。あと10分でも15分でも追加して“特攻”を生んでしまった時代の化け物を描いて欲しかった。

特攻は上からの命令でもあり、何事も「お国のため」という当時の教育もあっただろうが、おそらく最後は自分の死が家族や大事な人、そして生まれた故郷を守ることになると微かでも望みを持って出発して行ったに違いない。
そうした方たちの礎があって今、我々が生を謳歌している。
この映画を観て、もう少し深く内容に踏み込みたいと思った。原作を読んでみたい。

マスター@だんだん