「キャラクターの書き込みが、エメリッヒにしては散漫」ホワイトハウス・ダウン 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)
キャラクターの書き込みが、エメリッヒにしては散漫
『2012』(2009)は下院議長と副大統領を省略したのに(厳密にはオリバー・プラットの報告のみに留めていた)、ここでは何故か省略せずに描写、挙句微妙な退場。他にもカットできる場面がそこかしこに点在していて、エメリッヒ映画にしてはイマイチな出来栄えだった。僕は『ストーンウォール』(2015)も含め、好きな作品多いので。
キャラクターの描写とかも首謀者がイマイチすぎた。ジェームズ・ウッズの外見ではどこから見たって悪役過ぎるし、息子の死に正当性を与えたい動機が薄い。逆にイーライ・ラフェルソンは意外と美味しいキャラだった。空爆中止を命令すれば良い小物感が増えて、顛末の滑稽度合いがもっと上がってたと思う。
逆にケイルは殺人行為への考えが軽すぎる。状況が状況とはいえ、平和主義者の大統領に殺人をさせたことに感情が動かないのは、ちょっとどうかと思ってしまった。チャニング・テイタムは悪くないけど、キャラ設定がピンと来なくて、エミリーがいなかったらダメな主役だったかも。
そのエミリーも面白いけど、なんかアッサリつかまり過ぎて、むしろ孤軍奮闘を続けた方が良かったかも。ジョーイ・キングはハマっていたけど、緊張感の一翼を担えただけにむしろ残念。フォックスの大統領も自分で決着をつけるぐらいの根性は欲しかった。マギー・ギレンホールについては、安定していて安心したけど。
『ダイ・ハード』(1988)や『ザ・ロック』(1996)、『エアフォース・ワン』(1997)といったアクション映画の傑作たちの影響を受けるにしても、そこからイミテーションを超えるエメ流映画が見たかった。エミリーが旗振る場面がまんま『ザ・ロック』だったし(ウォーカーがハメルなら、ステンツはバクスター)。