「只々恐ろしい…」キャプテン・フィリップス ソロモンさんの映画レビュー(感想・評価)
只々恐ろしい…
その辺の幽霊ホラー映画なんかを鼻で笑えるぐらいの恐怖と臨場感たっぷりの映画でした。
実話ベースなんで、起承転結な構成ではありません。まあノンフィクション物でこれを求めるのは難がありますが。しかしどのシーンも緊迫ムード漂うつくりと息つかせぬ展開の連続で緊張感と共に画面から目が離せない。
海賊に船を強奪されるシーンは私も思わず「なんてこった…占領されたよ…」と恐怖を感じてしまった。乗組員は20人に対して、相手の海賊はたったの4人。しかし海賊の武装した姿と怯みを見せない気迫を目の前にするといくら大人数とは言え、大それた行動は取れないと思えました。しかしそんな彼ら、特にフィリップスは自我を保てている姿を見ると「やっぱ海の男は肝が据わってんのかな?」っと感心してしまいました。
そんな緊迫した雰囲気が最後まで続く。途中決死の脱出も失敗に終わってしまう場面もあり、「頼むからこの窮地から解放してくれ!」と願うばかりの状態。
だからこそ解放された時のラストシーンは心の底から胸を撫で下ろしてしまう。マシガントークばりに喋る女性を前に言葉が出ないフィリップス船長。しばらくして自分が本当に助かったんだと今更ながらも実感したんでしょう。ブワッと泣き出す彼の姿はもう…何とも言えない気持ちです。と同時にトムハンクスさんはやっぱすご
いと実感。
しかしこの映画、意外と海賊の視点も妥協しなかったの好印象でした。彼らには彼らの事情があるのだということをしっかりと描いていたと思います。勧善懲悪な話にしなかったことにより、話しや理屈がお互いかみ合わないというイライラが表現され、より緊張感が出していたと思います。
そして少しばかり社会派な内容になり考えさせられる。この点ノンフィクションのいいところなんでしょうね。作られた話より現実性があって興味深い内容になる点は。
見た後どっと疲れる映画でしたが、それぐらい臨場感がある作品だったと思います。にしてもほんとに恐ろしい話ですね。同じ海賊のジャックスパローが来るなら歓迎なんですが(笑)