「臨場感たっぷり」キャプテン・フィリップス mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
臨場感たっぷり
ポール・グリーングラスは自分がどのような題材にたけているかよくわかっている。2009年の春に起こった貨物船人質事件を映像化。緊迫の4日間を描き出す。
ビリー・レイの脚本がよかったのは、フィリップス(トム・ハンクス)の家族を必要以上に登場させなかったことだ。フィリップスの妻にキャサリン・キーナーを配しながらであるから英断だった。
すなわち、映画のほとんどが海上であり、だからこその緊迫感なのだ。
ただ、家族は事件のことを知っており、アメリカのマスコミが連日報じているのをそれとなくほのめかす。このあたりのさじ加減も絶妙である。
ボーンシリーズや「ユナイテッド93」で見せたトリッキーな演出はほとんどなく、ストーリーを語ることに専念した演出も観る者を海上に引きつける役目を果たしている。
無事救出されるのがわかっているのに、ドキドキしながら観てしまうのは、やはりポール・グリーングラスがうまいのだ。
救出された直後のフィリップスの恐怖からの解放は、見ているこちらも胸をなでおろす。
役者トム・ハンクスここにあり、というところも見せた。
コメントする