「重厚なメッセージが込められたスリリングな実話ドラマ」キャプテン・フィリップス よねさんの映画レビュー(感想・評価)
重厚なメッセージが込められたスリリングな実話ドラマ
コンテナ船がソマリアの海賊に襲撃され、船長が拉致されて救出されるまでの話のどこが面白いのかと思っていましたが、これは傑作でした。
まず描かれるのが後方から近づいてくる海賊らしき船影をレーダーで補足してからの情報戦。続いて乗船させまいと万策を尽くす防御戦、そして海賊に侵入されてからの心理戦とあらゆるシチュエーションでの攻防がスリリング。しかしそれは序章に過ぎず、映画の大半は狭い救命艇で息を潜める海賊とネイビー・シールズの対決で、交渉人を介したネゴから救出に至るまでのテンション漲る修羅場。作戦完遂後には一介の漁師が海賊に手を染めざるを得なかった政治的背景もきっちり描写して重厚なメッセージも残す辺りはドキュメンタリー出身の監督ポール・グリーングラスの真骨頂。舞台は殆ど海上、登場人物も少ないワンシチュエーションの2時間強をダレ場一切なしでスリリングに観せる圧倒的な作品でした。
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