「ゴシックミステリーとしての雰囲気は◎」Virginia ヴァージニア Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
ゴシックミステリーとしての雰囲気は◎
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自分だったら70過ぎても監督やろうなんて思わないが、コッポラ監督やスピルバーグ監督には頭が下がる。
まず本作では、ヴァンパイア等のホラー要素はあるものの、決して一般的なホラーとは異なり、監督自身や作中に登場するエドガー・アラン・ポーらの実体験に基づく"身近な人間の死"から現れる後悔の念や愛しさ、哀しさを表した作品だ。…と認識しているが、実際のところよく分からない作品だ。
ポーは従妹と結婚し、彼女は病で亡くなってしまうという史実があるのだが、その死はかなりポーの作品にも影響を及ぼしていた。本作の彼の台詞からも死から生まれた哀愁漂う彼の感情は見て取れる。そして本作の主人公もヴィッキーという娘を事故で亡くしているのだ。その影響からか妻とは争いだらけ、本は売れない、とかなりの不遇に見舞われている。本作において明確に明かされる事は無いが、舞台の街が時間という概念に囚われていないのも、よく"あれから時間が止まったまま"と表現するように、それぞれの心情を踏まえた設定だと思われる。エル・ファニング演じる"V"を命懸けで助け出した主人公だが、彼女の名前、Vは勿論何かの頭文字だとは分かるが、亡くした娘ヴィッキーのスペルと同じであり、初めから同一人物なのではと推測がつくものの、そこら辺は曖昧な形で終わってしまう。それでもラストの展開を見ればVを救う事が自分自身の心を救う事になった訳だろう。いまいち説明不足なので釈然としない部分も多いが、夢か現実かの境い目の様な世界観の為、細かい所は雰囲気としてコッポラの世界観に浸れば良いのだろう。
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