「一人33役の亀梨和也にカツンときた」俺俺 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
一人33役の亀梨和也にカツンときた
麻生久美子は出演していなかったけど、三木聡作品の常連、ふせえりや岩松了は見ることができる。ゆるい展開で始まる序盤は楽しめたが、徐々につまらなくなってきた。もしかすると、深い意味があるんじゃないかとも思ってみたが、後半になるとオレオレ詐欺については一切語られず、ただただ増殖する“俺”が不気味になっていくだけ・・・
“均”はごく平均的な“俺”である。カメラマンを目指していたとかの特徴はあるものの、他の“俺”は会社を辞めたいと思っているとか、平凡なサラリーマンだったりする。学生あり、巨乳女性あり、ファンキーな兄ちゃんもいたけど、彼らもその世界では平均的な人間だったのだろう。
そんな“俺”が増殖。ちょっとした写真に野間口徹なんかも映っていたけど、日本増産党の選挙ポスターには井ノ口徹という人物名だった。誰だろ?やっぱり平均的なモブキャラ?てな感じで、増殖して“俺”人口が増えれば増えるだけ、通じ合ってるように見えてもそこには派閥や敵対関係が生まれるに違いない。警官にしてもそうだし、そこには同じ“俺”でも異質なものがあるはずだ。
謎めいたシュールなストーリーの中にも、“俺”を見分けられる人とそうでない人がいる事実。家族であっても区別できないのに、見分けられる人は結局“俺”と同類であり、やがて“俺”化していく。結局、“削除”によって“俺”を強制排除していくのですが、これは世の中の排外主義を皮肉っているのではないだろうか・・・“俺”の集団の中でも絶対的“俺”になろうとするような出世欲が芽生えてくるような。
とまぁ、深読みするといくらでも可能ですけど、後半は単なるクローン人間を扱ったSF作品になり下がった感じ。赤と黄色の腕時計というわかりやすいヒントがあったために、ドキドキ感も消失。内田有紀のエロさもあったけど、佐津川愛美にももっとエロくなってもらいたかったかなぁ。