「(初レビュー) Tarantino Unchained」ジャンゴ 繋がれざる者 josephittさんの映画レビュー(感想・評価)
(初レビュー) Tarantino Unchained
映画レビュー初投稿です。
クエンティン・タランティーノ監督の魅力にとりつかれたのは高校1年の時、バイオレンスはもちろんのこと、タイミングがよすぎるBGMに監督の選曲センスがピカイチだった。『レザホア・ドックズ』『パルプ・フィクション』『キル・ビルvol,1&2』などの音楽に酔いしれて、世間は西野カナの曲一色の時に僕だけはiPodでタランティーノのサントラを聞きまくっていた。実際、これを書いている時も聞いている。そして、痛々しいバイオレンス描写が魅力的なキャラクターと台詞に飾られ、それらと一体化し見ていて嫌じゃない。むしろ、心地よい(笑)
2009年の『イングロリアス・バスターズ』が劇場で見れなかった悲劇から4年が経ち2013年の春、ようやく劇場でタランティーノ作品が見れたことに感激。さらに、高校生は場劇で自分と無理矢理連れて来られた友人2人(最終的には楽しかったと好評価だった)だけだった。あの中で一番興奮していたのは自分に間違いない。
『ジャンゴ 繋がれざる者』
ジェイミー・フォックスの演じるジャンゴと、クリストフ・ヴァルツの演じるシュルツのコンビは最高だった。いろいろなバディが映画に登場してきたが、かなり上位に値すると思う。
ディカプリオのカルビン・キャンディは映画がロードムービーということもあり、登場が後半からだがインパクト絶大で、冷酷最低クズとありとあらゆろ汚い言葉が似合う男。死に様があっけなくて、派手な死に方よりも似合っていた。奴隷デスマッチは歴史的にあったかは分からないが、全く酷いものだと感じた。あの辺りからさっさと消えてくれ!と思っていた。ディカプリオの初悪役が見れて幸せな時間だった。
その他の登場人物も無駄がなくてスッキリしたキャラクターばかりで、皆が個性的で、タランティーノ監督の描き方がピカイチと改めて確認した。
ストーリーは単純で元奴隷のジャンゴが離ればなれになった妻のブルームヒルダをカルビン・キャンディから取り返すというもので、なにより時系列が一本道で見やすかった。タランティーノ作品の醍醐味は複雑な時系列を多くのキャラ目線で描くことが多いが、今回はほぼ全てがジャンゴ目線で一義的な映画に感じたが、タランティーノ作品には新鮮でよかった。しかし、個人的には次回作は元の形に戻してほしい(>_<)。これらの点でも見やすいからタランティーノ初心者には良い内容の映画と思った。
165分と長い映画だが、ダラダラした会話は僕からは見受けられなかった。よくあるストーリー上の会話で、いつかの延々続く車の話やカードを頭に貼って正体を当てあうなどのシーンはなかった(笑)。あの友人も疲れた様子はなく、この点からも言える。タランティーノ作品を見るなら上映時間が6時間でもいいと思ってるのが僕なので165分は、タランティーノ作品最長だが、ある意味最短だったのだ。僕には、『イングロリアス・バスターズ』は短いのだ。
この映画はアメリカの奴隷制度をきちんと描いている映画だし、映画の新たなジャンル南部劇というものを確立した作品だと思う(が、タランティーノ作品はほとんどが新たなジャンルの映画に思える)。
「D'artagnan Morefucker! 」のシーンでは、ジャンゴの人間の良さが知れて感動した。ダルタニアンの最期はかなりきついところがあった。このような黒人俳優が奴隷を演じるのに抵抗は無かったのかと思う。おそらく、タランティーノの熱意と黒人ハイユウ達の南部劇というものを築き、一番の目的は奴隷制度を改めて私達が思いしるために熱意を持っていたに違いないと思う。全裸で熱い鉄の箱に入れられたり、犬に喰われたり、鞭で打たれるといった最低な行いをやりたがる人はいないだろう。
タランティーノも奴隷制度を描いてはいけないという鎖から解き放たれて渾身の作品を私達にぶつけてきたのだろう。
最後に、今思うことはディカプリオがあのあと黒人の人たちから何かされるんじゃないのかと心配になる。
そして、ジェイミー・フォックスは黒人達の英雄だろう。