劇場公開日 2013年3月1日

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「単なる映写機を担いだ映画少年なのかは「スタートレック」で結論が?」ジャンゴ 繋がれざる者 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0単なる映写機を担いだ映画少年なのかは「スタートレック」で結論が?

2021年8月24日
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タイトルバックが
彼のオマージュだらけの一環としても
私の大好きな「続・荒野の用心棒」
の懐かしい音楽だったので、
何故か意味も無く冒頭から期待が高まった。

しかし、残念だったのは彼の中期の作品
「キル・ビル」「イングロリアス…」同様、
上手さが導入部で終わってしまい、
後は後味の悪い暴力と大殺戮シーンを
待つだけになってしまったことだ。

さて、「イングロリアス…」では、
映画館主がドイツ大佐に復讐を遂げない
という首尾一貫しないストーリー展開に
彼の安易な脚本を否定せざるを得なかった
が、流石にアカデミー脚本賞を得たこの作品
では、序盤の伏線通りに
ジャンゴは妻を救出はしてくれた。
しかし、そのための屋敷での大殺戮の後に、
彼が捕らわれてからの妻の救出劇までは
余りに御都合主義過ぎて、
これで本当にアカデミー脚本賞?
と首をかしげざるを得ない
不自然極まりない強引さだ。
よほど対抗馬が無かった、受賞には
幸いな年だったのかなと想像してしまった。

また、「キル・ビル」
「イングロリアス・バスターズ」
もそうだったが、無駄に長かったり、
不要なエピソード多過で、冗長過ぎる。

黒人奴隷問題について、
ディカプリオ演じる荘園農主の狂気が、
当時の普遍的な人物像との匂わしで
充分なのだが、必要以上の殺戮シーンが、
逆にこの作品の社会的意義を喪失させている
ように思える。
他にも、白人に寄り添う黒人老執事の登場も
他の映画作品でも頻繁に描かれる人物像で、
何ら目新しい訳でも無い。
彼にとっては奴隷問題も単なる映画を
盛り上げる一要素に過ぎないのだろうか。

ところで、
「イングロリアス…」ではブラピ、
この「ジャンゴ…」ではディカプリオ、
だから「ワンス…」ではステップアップして
二人の共演なのか、と
これも意味も無く妙に納得していた。

タランティーノはこの作品でも、
まだまだ撮影機を担いだ映画少年レベル
だが、その後、映画作家として、
それなりの成熟があって、
彼の魂の叫びが聞こえたかに感じた
「ワンス…」が生まれたと信じたい。
それが本当かどうかは、
噂される彼の最後の作品「スタートレック」で、
その答えを聞くことにはなりそうだ。
かなり心配ではあるが。

KENZO一級建築士事務所