「クローネンバーグか?!と思ったのもつかの間」凍える牙 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
クローネンバーグか?!と思ったのもつかの間
人体発火とか人体爆発とかいったテーマが大好物なため、ワクワクしながら見始めました。しばらくして、い、犬ですか?と興味をそがれながらも、犬映画も大好きなので・・・と、結局は最後まで楽しめました。残念なのは犯人が序盤のうちにわかってしまう点だけ。
まぁ、ミステリー部分は前半だけで、あとは社会の闇や先輩刑事と新米女性刑事のバディぶりを楽しむべし。特にソン・ガンホ演ずる刑事は後輩が先に昇進してしまったことで、功名心にはやり本部に報告しなくなっていく様子。女性刑事ウニョンも離婚歴があり、女性地位向上のためや覚醒剤・少女売春などの被害者の恨みを晴らすがごとく刑事の宿命を信じてスタンドプレーに走ってしまう。アンバランスなコンビとはいえ、意思疎通し性格も似通ってくる流れが面白い。
事件の核心部分となるのは、狼と犬の交配によって生まれた狼犬「チルプン(疾風)」。命令が無い限り人には攻撃を加えないのだが、それが殺人となると犬への思いも変わってくる。少女のための復讐。それはまるで社会の悪をも根絶しようとする正義感さえ感じられる訓練された犬。しかし、サンギルの「犯人を捕まえても犯罪はなくならない」というぼやきもよく伝わってくる。
犬の気持ちも伝わってくる。訓練され、ターゲットを殺すことを記憶させられただけ。本来なら、家族とともに幸せな一生を送るはずだったのに・・・山の一軒家での暮らしが走馬灯のように蘇る。もう仕事は終わったんだから、早く殺してくれ!と、鋭い眼が訴えているようでもあった。
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